私が教育の現場に足を踏み入れたのは約15年前。その当時から発達障害の子ども達と関わる機会は多く、彼らとのコミュニケーションや学習のサポートに悩む日々もありました。しかし、経験とともに彼らの持つ可能性や、長所となる特性を実感することも多くありました。
発達障害を持つ子どもたちは、通常の教室環境では学習や日々の生活に困難を感じることが多いです。しかし、ほんの少しだけ環境の調整や配慮によって、彼らの学びの質や、生活の質を大きく向上させることができます。
この記事では、発達障害の子どもたちとの接し方と、発達障害の子どもがより効果的に学びを深めるための教室環境の最適化方法を具体的に紹介します。
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約15年間の教員経験で多くの子供と関わってきました経験からお話しします。
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目次
発達障害の基本の理解
発達障害とは、一般的な発達の過程での認知や言語、社会スキルにおいての遅れによる日常生活の困難を指します。しかしこれは、「できない」ではなく、「やり方が合っていない」と捉えることが大切です。
私が担当したY君は、文字を覚えるのに非常に時間がかかりましたが、色や図形に関する認識する力は、他の子と比べてもかなり優れていました。文字に色を付け、形ごとにグループ分けするなどして学習したところ、みるみると文字を覚えることができました。
個別のニーズを理解する
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子ども一人ひとりが持つ特性や強み、課題は異なっています。A君は数学の計算が得意だけど、読書がとても苦手。一方、Bちゃんは物語を読むのは好きだが、グループ活動がとても苦手。その子の特性を見極め、サポートするポイントを見つけることが必要です。
私が担当したT君はとても音に敏感でした。体育の授業中の大きな声や音に驚き、授業に集中できないで、体育館を飛び出してしまうこともありましたが、マイクを使うことをやめたり、その子に対しては個別に説明をしたりするなど、騒音の少ない場所や活動を増やす工夫をすると、かなり落ち着いて授業を受けることができるようになりました。
積極的なコミュニケーションを心がける
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言葉だけでなく、身振り手振りや絵を使ってコミュニケーションすることが大切です。発達障害を持つ子どもは、耳から入る情報をインプットすることが苦手な子が多いからです。彼らの気持ちや意見、困り感をしっかりと受け止める態度が信頼関係を築きます。
Mちゃんは自分の気持ちを言葉で表現することがとても苦手な子どもでした。しかし、彼女は絵を描くことが好きだったので、絵を通じてコミュニケーションをはかり、彼女の気持ちや考えを理解することができました。私は彼女の絵を描く時間を増やし、私自身も絵を描くことによって、彼女との信頼関係を少しずつ築くことができました。
ポジティブなフィードバックをたくさんする
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発達障害の子どもたちは、自分のできることや成功体験を通じて自信をつけることが大切です。小さな成功をコツコツと積み上げていくこと。また、それをしっかりと褒めてあげることで、彼らの自己肯定感を育て、自信を持って別のことにもチャレンジすることができます。心の安心が、結果的にその子の活動をより良くするでしょう。
K君は算数の計算が非常に苦手でしたが、一度彼が難しい問題を解けたとき、周りの友達がそれを「すごい!」と言ってくれ、私もそれについて少し大げさに褒めたことがあります。その日以来、彼の自信は明らかに増し、算数の授業に向かう態度が見違えるほど良くなりました。そして「もっと難しい問題にチャレンジしたい!」と楽しそうに取り組むことができるようになったのです。
継続的なサポートと成長のチャンスを提供する
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発達障害を持つ子ども達も常に成長しています。その成長スピードは基本的には普通の子と比べてゆっくりですが、その子の特性に合った環境やサポートを提供することができたとき、爆発的な成長を見せることがあります。教育者として、その成長をサポートするための環境を提供することが必要になります。
そのために定期的に親と先生、専門家がチームとなり、協力して子どもを成長させるサポートをすることがとても重要です。「一人でどうにかしなくちゃ」と考える必要はまったくありません。その子の成長や課題について、関わる大人たちで共有し、どのようにサポートしていくかを相談しましょう。
私が気づいた教室環境
私は15年間の教室での日々の経験から、発達障害のある子どもたちが日常的に直面する困難や不安に気付きました。発達障害のある子どもは、特定の刺激を受けると、彼らの集中力は極端に下がります。例えば強い光や音、視覚的に気になるものが目に留まったなど、子どもによってその刺激は違いますが、彼らはこのような要因が、授業への集中力を途切れさせるきっかけになってしまったり、他の子どもとのコミュニケーションの障壁になったりすることに気づきました。
①座席の形や掲示物の配置を見直す
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まず、明るさの調整です。学校では照明を明るくしたり、暗くしたりすることは基本的にできません。学校は昼に稼業している場所なので、明るすぎるということはあまりないと思うので、暗くならないように配慮しましょう。蛍光灯の確認やカーテンをあまり閉めないようにするということです。普通の人でも、「暗い所にいると眠くなる」と言う人いませんか?それと同じように少し教室が暗いだけで集中力をガクッとさげてしまう子どもは多いです。
掲示物を、生徒の視界に入る黒板側に貼らない先生も多いと思いますが、それもクラスの子どもの特性に合わせるのが良いでしょう。黒板側が掲示物でガチャガチャしているのは、基本的には良いことではありません。また、先生用の机、棚などの配置もフレキシブルに変える必要があるでしょう。
子どもたちが自分達の居場所を自由に選べるような環境を作ることで、安心感を持って日々の生活を送ることができ、授業にも集中して参加できます。
②視覚的なヒントを増やす
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発達障害を持つ子どもは、耳から入る情報をインプットすることが苦手な子どもが多いです。耳から入る情報だけではなく、目から入る情報を増やす工夫をしましょう。提出物なども、「〇日までに提出だよ!」と口頭で伝えるのではなく、黒板に書いておくことや、時間割や日々のスケジュールを視覚的に分かるように教室の目立つ場所に配置することが大切です。これにより、子どもは今日の流れやルールが一目瞭然となり、安心して学校生活が送れるようになるでしょう。
③感覚過敏を考慮した先生のアプローチ
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発達障害を持つ子どもの中には、感覚が敏感な子が一定数います。これを踏まえた先生の接し方は子どもの学習環境を大きく左右する要素となります。
まず、声のトーンや大きさに注意しましょう。大声や急な音に敏感な子どももいるため、指示や質問や穏やかなトーンですると良いでしょう。また、その子に何か指示をするのであれば、明確で簡潔な言葉を使う配慮が必要です。
次に、物理的接触にも配慮が必要です。手を振る、肩を叩くなどの接触は一部の子どもは極端に嫌がります。事前にその子の反応を観察しながら適切な対応をしましょう。さらに、先生自身が感覚過敏に関する知識をしっかりと持ち、他の子どもたちにも共有することで、クラス全体の理解と協力のもと、発達障害の子どもが安心して登校できる教室環境を作れるでしょう。
④子ども達が笑っていられる環境が一番
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教室の家具や掲示物の変更、明るさ、視覚的な対応、先生の対応の配慮など、様々な話をしてきましたが、結局はクラス全体が明るい雰囲気であればその子どもは安心して勉強に取り組むことができるでしょう。発達障害を持つ子どもだけではなく、どの子どもも楽しく教室で過ごすことができる環境を整えることができれば、それが一番の「教室環境を整える」ことになります。
クラスの子ども達全体が楽しみながら学べる環境を作ることで、彼らのポテンシャルを最大限に引き出すことができると私は考えています。
まとめ
発達障害を持つ子どもとの関りは、挑戦の連続です。彼らと過ごす中で得られる喜びや学びは、間違いなく教員としての成長になります。また、発達障害の子ども達をサポートする環境整備は、先生や保護者にとって必要不可欠な取り組みです。小さな変更や工夫で、子どもたちの学びや学校での生活の質を、飛躍的に向上させることができるのです。
すべての子どもが等しく質の高い教育を受ける権利を持っています。これを実現するために、我々大人ができることを考え、行動に移していくことが大切です。
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現役で数学を教えている中学校の先生です。中学の数学のプリントやICT関連の情報、ブログでは道徳や学級レクのネタも発信しています。
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