今、不登校児童生徒が増え続けています。令和4年度の小中学校における不登校児童生徒の総数は約30万人で、過去最高となりました。
文部科学省が定義する「不登校」とは年間30日以上の欠席者のうち、「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にある者」のことを指します。(病気や経済的理由を除く)
不登校は子供が悩んでいるのは間違いないですが、同じくらい親も悩んでいて、その苦しみは計り知れません。
今回の記事は、不登校もしくは不登校気味のお子さんをお持ちの親御さんに、現役教員で多くの不登校児童生徒を見てきた私が、学校に復帰できる子の親が何をしているのかについて紹介していきたいと思います。
家庭の取り組みで、学校に復帰できるかどうかは大きく変わります!
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正しい親子関係を築く
いつまでも「見守る」だけではダメ
不登校の問題を学校やスクールカウンセラー、各種の相談機関で相談すると、必ず「見守りましょう」という言葉がでると思います。
確かに最初は見守ることも大切です。子供が何を不安に思っているのか、何で悩んでいるのかを見極めることは非常に重要です。
子供は自分の不安や悩みを言語化することができないので、「なんで学校に行けないの?」と聞いても、日によって言うことが違ったり、「なんとなく行きたくない」と言ったりすることも多いです。
しかし、私の経験上「見守る」を続けていても、いつまでたっても改善されないことの方が多く、場合よっては生活習慣が乱れて、悪化することも珍しくありません。
たくさん会話をする
昨日、子供と何分くらい話したか、何を話したか思い出せますか?思い出せない方は正しい親子関係が築けていないと言えるかもしれません。
仕事をしている親にとってはなかなか、多くの時間を作ることは難しいかもしれませんが、「朝ご飯を食べながらこんな話をしよう」とか「仕事から帰ってきたらこんな話をしよう」と考えながら、子供と話す時間をしっかり取りましょう。
そして、その会話の中でたくさん質問をして、たくさん褒めてあげてください。
このような日々の少しずつの積み重ねが、子供の気持ちを少しずつ変えていく足がかりになるはずです。
「自由にやりたいことをやらせる」は危険
不登校の原因がいじめなどの理由であれば、その不安を取り除いてあげるようにすればよいのですが、多くの場合は原因がはっきりしません。
そのとき、多くの場合「しばらくは元気になるまで好きなことをさせてあげましょう。」となるかもしれません。
それ自体は悪いことではないと思いますが、現代では依存性の高いコンテンツが山ほどあります。
子供は「好きな事をして良い」=「動画、ゲーム、スマホ」となり、無制限にこれらをさせることは、はっきり言って危険です。
「自由」の中にも、しっかりとした家庭のルールを作ることが大切です。ダメなものはダメと言えない関係は、良好な親子関係とは言えません。
デジタル機器に依存させない
私が担任した子供で、最初は「なんとなく行きたくない」から始まり、自由に好きなことをさせた結果、スマホゲームに夢中になり、今度はスマホゲームをやりたいから学校に行きたくないと思い始めてしまった子が実際にいました。
これは時間を与えた結果、後からデジタル機器依存に陥ってしまったパターンですが、「家でゲームしていた方が楽しいから」という理由で学校から足が遠のいてしまう子供は珍しくありません。
昔と違い、最近では手のひらの中で納まる楽しいコンテンツは山のようにあふれています。日頃からデジタル機器に多くの時間を費やしている子供は、学校で友達と遊ぶよりも家でゲームをしている方が楽しいと思うようになります。
そんなとき、友達と少しトラブルになったら…もう学校に行きたいとは思いませんよね。
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何もしない時間を作る
スマホやゲームがなくても楽しい時間を過ごせるようになることは大切です。あえて何もしない時間を作ることで、考える時間を作ります。
自分はこのままで良いのだろうか?学校に行っていたら今頃何をしているだろうか?将来自分どうなるのだろうか?
何もしないでボーッとする時間を作ることで、子供はいろいろなことを考えるようになります。
ボーッとすることで脳がリセットされ、ストレスが減ったり、新しいアイデアを思いついたりということは脳科学的にも証明されています。意識的に何もしない時間を作って、脳をリフレッシュさせることは大切です。
正しい生活習慣を送らせる
これは言うまでもありませんが、昼夜逆転生活になった時点で、学校に行ける可能性はほとんど0になってしまうでしょう。
夜遅くまでゲームをしたり動画を見たりして、寝る時間が夜中の2時や3時…なんていう子供も珍しくありません。
そのような子供は授業中に寝るようになり、朝遅刻するようになり、少しずつ欠席が増え、その後不登校に…。
正しい生活習慣というのは睡眠時間だけではありません。正しい食生活や、適度な運動、ルーティンなども大切です。
具体的には
- 就寝時間、起床時間を決める
- 夜、部屋にスマホを持ち込ませない
- 朝、昼、夜の3食ご飯を食べる
- お菓子を食べ過ぎない
- 家の手伝いをする
- 毎日軽い運動をする
不登校の子供にとっては、外に行って運動することは難しいことかもしれませんが、家の中でもできるエクササイズなどを親と一緒にやることは、親子の会話も増えるので一石二鳥です。
親の不安や焦りを悟らせない
子供が不登校になってしまうと、親も同じくらい不安になり、早く学校に行かせなきゃ、と焦ってしまいます。
この感情は誰もが抱きますし、親であれば当然でしょう。
ここで大事なのは、その不安や焦りを子供に悟らせないということです。
親が焦っているから学校に行きました。という事例は聞いたことありませんが、親を不安にさせているのが分かるから余計辛い、と言う子供は多くいました。
子供は学校に行けない時点で、少なからず自分の将来などに不安を持って悩んでいます。そこに親が不安に思っていることを悟ると、更に不安になり…と悪い意味で相乗効果になってしまいます。
心の中では心配していても、それを焦りなどの形にして子供に悟らせないようにすることは、子供のメンタルを守るためにとても重要な事です。
長期的な視点を持つ
そして最後に、これまで紹介したことを長期的な視点を持って継続的に支援することです。
正しい生活習慣も、正しい親子関係を築くことも、デジタル機器に依存しないルール作りも、すべて長期的な視点で、子供と二人三脚で取り組んでいきましょう。
個人差や置かれている状況はそれぞれ違いますが、不登校問題は数日や数週間でどうにかなるようなものではありません。
最低でも1か月~3か月の期間を見据えましょう。急に何かを変えることは子どもにとってもストレスになりますし、それこそ焦っていると子供に悟られてしまうかもしれません。
親子の会話や褒めることを毎日少しずつ積み重ねることが遠回りのように見えて1番の近道になるかもしれません。
まとめ
いかがだったでしょうか?学校に行ける子の親がやっていることをまとめると、
- 正しい親子関係を築く
- デジタル機器に依存させない
- 何もしない時間を作る
- 正しい生活習慣を送らせる
- 親の不安や焦りを悟らせない
- 長期的な視点を持っている
これらの取り組みを少しずつ積み重ねることができるご家庭は、子供の不安を解消することができるのだと思います。
最後に、「不登校問題の解決」=「学校に行くこと」と決めつけるわけではありません。フリースクールを始めとした、学校以外の居場所が正解な子供もたくさんいることも事実です。
しかし、子供お親も不安で苦しんでいる状況は絶対に正解ではないので、子供と正面から向き合い、将来のことを気軽に相談できる関係を築くことが、一番大切なのかもしれませんね。
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現役で数学を教えている中学校の先生です。中学の数学のプリントやICT関連の情報、ブログでは道徳や学級レクのネタも発信しています。
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