分数の授業の導入

分数は子どもに教えることが最も難しい単元の1つですよね。

分数の意味をいくら言葉で説明したところで、本当の意味で分数を理解できる子どもは多くはないでしょう。

特に導入部分は重要で、分数の入り口で「全然わからない!」なんてことになると、算数自体に対しても拒否反応を起こすようになってしまうかもしれません。

この記事では、ピザやりんご、鉛筆などの図を使いながら、「分数とは何か」を子どもに分かりやすく伝える授業の導入を紹介します。

授業冒頭の15分程度で実践でき、小学2年生で初めて分数を学ぶときだけでなく、小学3〜6年生の復習や学び直しにも活用できる内容です。

学校で分数を教える先生はもちろん、家庭で子どもに分数を教えたい保護者の方も、ぜひ参考にしてください。

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教科書的な説明は子どもにとってイメージしにくい

教科書では分数を次のように説明されることが多いです。

1つの量やものをいくつかに等しく分けたうちの、「いくつ分か」を表す数

数学的には正しい説明ですが、初めて分数を学ぶ子どもにとっては、かなり抽象的な表現です。

  • 1つの量とは何か?
  • 等しく分けるとはどういうことか?
  • いくつ分とはどの部分を指しているのか?

など、文章を読んだだけでは具体的な大きさが見えてきません。

分数を理解している大人であれば、この説明を読んで、ピザやケーキを等しく分けた場面を頭の中に思い浮かべられますが、分数を初めて学ぶ子どもは、言葉からその場面を想像すること自体が難しいのです。

また、「分母は分けた数、分子は取った数」と言葉だけで教えると、分母と分子の位置や読み方は覚えられても、分数が表している大きさまでは理解できないことがあります。

そのまま学習が進むと、分数を「上下に数字が並んだもの」として捉え、分数の計算の単元に入ったときも、数字だけを操作するようになってしまいます。

だからこそ、分数の学習では、教科書的な説明を最初から覚えさせるのではなく、まず図や具体物を見せることが大切です。

ピザの図を使った分数の導入授業

分数の授業では、最初から「分母」「分子」といった言葉を教えるのではなく、まずは分数が必要になる場面を子どもに見せます。

導入で使いやすいのが、ピザの図です。ピザは「1枚」と数えられ、切り分けた大きさも目で確認できるため、分数をイメージするのに適しています。

分数のどんなときに使う?

分数の授業の導入

冒頭でも言った通り、

分数を「いくつかに等しく分けたうちの、いくつ分か」とだけ説明するのは少し危険です。

抽象的でイメージしにくい上に、導入から分数への苦手意識を植え付けてしまうかもしれないからです。

「1よりも細かい数」ということを、ピザを使って説明すると良いでしょう。

丸ごとのピザは何枚かを考える

分数の授業の導入

最初に、丸ごとのピザを見せて問いかけます。

「このピザは何枚ですか?」

子どもたちは「1枚」と答えるでしょう。ここでは、丸ごとのピザを「1」とすることを確認します。

続いて、4つに等しく分けたピザのうち、1つだけを見せます。

「では、このピザは何枚ですか?」

切り分けたピザも、目の前にあるものだけを数えれば「1枚」といえます。しかし、丸ごとのピザと比べると、大きさは同じではありません。

そこで、2つの図を並べて問いかけます。

「どちらも1枚というけれど、同じですか?」
「小さく分けたピザの大きさを、どのように表せばよいでしょうか?」

「1枚」では丸ごとのピザと区別できません。しかし、「0枚」ではありません。このように、整数だけではうまく表せない大きさがあることに気づかせます。

1よりも細かい大きさを分数で表す

分数の授業の導入

ここで、分数がどのようなときに使われるのかを説明します。

分数は、1よりも細かい大きさを表すときに使います。

丸ごとのピザ1枚を同じ大きさに4つに分け、そのうちの1つ分を取り出します。この大きさを、分数では14枚と表します。

「4つに分けた」だけではなく、同じ大きさに4つに分けたことを丁寧に確認することが大切です。大きさがばらばらでは、一つ分の大きさが決まらないからです。

分母と分子を図と結びつける

14​を見せながら、分母と分子の意味も図と対応させます。

  • 分母の4は、1枚を同じ大きさに4つに分けたこと
  • 分子の1は、そのうちの1つ分であること

単に「下が分母、上が分子」と覚えさせるのではなく、それぞれの数字がピザのどこを表しているのかを確認します。

さらに、4つに等しく分けたピザのうち3つ分を見せ、

「これは何枚と表せるでしょうか?」

と問いかけます。14が3つ分集まっているため、34枚になります。

このように、ピザの図と分数を行き来しながら考えることで、子どもは分数を単なる数字の並びではなく、実際の大きさを表す数として捉えられるようになります。

ピザ以外の具体物でも分数を考える

ピザの図を使って14​や344の意味を確認したら、別の具体物でも分数を考えます。

ピザだけで学習を終えると、子どもが「分数は、丸いものを切り分けたときに使う数」と捉えてしまうことがあります。分数はピザやケーキだけでなく、長さや個数など、さまざまな量を表すときに使える数です。

分数の授業の導入

1本の鉛筆を2つに分ける

まず、1本の鉛筆を同じ長さになるように2つに分けた図を見せます。

「半分になった鉛筆は、何本と表せるでしょうか?」

1本を同じ長さに2つに分けたうちの1つ分なので、分数では122本と表します。

ここでも、分母の2は「1本を2つに等しく分けたこと」、分子の1は「そのうちの1つ分であること」を図と結びつけて確認します。

1個のりんごを8つに分ける

次に、1個のりんごを同じ大きさに8つに分け、そのうち3つを取り出した図を見せます。

「このりんごは、何個と表せるでしょうか?」

1個を8つに等しく分けたうちの3つ分なので、38​個と表せます。

このとき、分母の8だけを見て「8個」、分子の3だけを見て「3個」と答えさせるのではなく、次のように言葉と図を対応させることが大切です。

1個を8つに等しく分けたうちの3つ分だから、38個。

ピザ、鉛筆、りんごと具体物を変えながら考えることで、子どもは分数が特定の形だけに使われるものではないと気づきます。

1より大きい分数へと理解を広げる

分数の授業の導入

分数で表せるのは1より小さい大きさだけではありません。1を細かく分けた一つ分をもとにすれば、1より大きい数も分数で表せます。

4つに等しく分けたピザを使って考えてみましょう。

14枚のピザが3つあれば、34枚です。では、14枚のピザが5つある場合は、何枚と表せるでしょうか。

「4分の1枚が5つ分だから、54枚」

14が4つ集まると、丸ごとのピザ1枚になります。さらに14が1つあるため、54は1より大きな数です。

54は1枚と14枚で114​枚と表すことができます。

まとめ:分数は図で見えるようにすると理解しやすい

分数は、言葉だけで説明しようとすると、子どもにとってイメージしにくい数です。

まずはピザなどの具体物を使って、分数の大きさを目に見えるようにしましょう。

丸ごとのピザは1枚ですが、4つに分けたうちの1つを「1枚」と表すことはできません。こうした場面を見せることで、子どもは「1よりも細かい大きさを表すために分数が必要なんだ」と実感できます。

分数の意味を図で理解したあとに、分母や分子の意味を言葉で整理すれば、単なる暗記ではなく、大きさを伴った理解につながります。

分数を教えるのが難しいと感じたときは、説明の言葉を増やすのではなく、まず子どもが分数を目で見られるようにしてみてください。分数を可視化することが、「分からない」を「分かる」に変える第一歩になります。

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投稿者プロフィール

hiro先生
hiro先生
教育×ICTクリエイター|教育メディア運営
教員15年→2026/3退職 中学数学13年+小6算数専科2年
Apple Teacher・Kahoot!認定クリエイター
書籍「算数から数学への壁」(エール出版社)
授業で使える算数・数学問題、思考力を育てるクイズ、ICT活用法を発信。
これまでに5種類の兼業を経験し、ストック型副業で月10万円の収益を構築。
電子書籍「論理的思考問題50」はAmazonベストセラー第7位を獲得。
現在は教育コンテンツ制作、デジタル教材開発、教員の働き方や副業について発信中。
SNS総フォロワー数は約3万人。