最近耳にすることが増えた「ラーケーション」と言う言葉、あなたはもう聞いたことがありますか?

 この記事では約15年間教員をやっている僕が、最近よく聞くようになった、「ラーケーション」とは何か?その魅力、課題点の解説と、賛成意見と反対意見についても紹介したいと思います!

数学の先生

最近はやりのラーケーションについて分かりやすく解説するよ!

 ラーケーションとは?

 ラーケーションとは、「ラーニング(Learning)」とば「バケーション(Vacation)」を組み合わせた造語で、「学び」と「休暇」を組み合わせた活動のことを指し、親の休暇に合わせて年に3日まで「ラーケーションの日」を取得できるという取り組みです。

 具体的には、伝統的な学校教育の枠を超えて、休暇を利用して行う教育活動や体験活動を意味します。この考え方は、学びの場を学校だけに限定せずに、自然の中や文化施設、地域社会など、様々な場所での実践的な学びを推奨しています。

 現在、愛知県内では名古屋市以外の53市町(1003校)が令和6年1月までの実施を予定していて、茨城県内の自治体の9割にあたる39市町村が導入予定または導入しています。

数学の先生

ラーケーションは今後全国に広がる可能性があるよ!

 ラーケーションの魅力

 ラーケーションにはどのような魅力があるのか、ここではいくつか代表的なものを紹介したいと思います。

1.家族で過ごす時間が増える

 中学校などでは部活動も始まり、土日でもなかなか出かけられなくなりますが、平日に計画的に休みを取ることによって、親子の時間を作ることができます。

2.学校以外での学びを得られる

 自然体験や歴史的建造物を実際に見て学ぶことは、学校では決してできない貴重な学びの機会となります。

3.地域産業が活性化する

 平日に休みを取ることによって観光客が分散し、平日に閑散としているような観光地の集客が増えることや、密になることを防ぐことができるので、感染症予防になることも考えられます。

4.子供の息抜きになる

 不登校者数が約30万人と、毎年のように更新している不登校の子供。学校に対して悩みを持っている子供はとても多いので、平日に学校から連れ出してあげることによって、子供の息抜きになることが考えられます。

5.ライフワークバランスが整う

 ラーケーションは年に3日まで認められているので、親の有給休暇を取得するきっかけになります。子供と一緒に、親のストレス発散の効果も期待できます。

 現在はラーケーション対応のプランを用意している施設も多くなってきていて、平日の宿泊者限定でSDGsなアート体験などを準備している宿泊施設もあるようです。

 具体的な活動例

1.自然体験活動

 子供が学校を休んで、家族と共に国立公園や自然保護区を訪れ、そこで生き物の生態や地理の自治学習を行う。

2.文化的体験

 美術館や博物館、歴史的な建造物を訪れ、現地の人から直接話を聞くことで、歴史や芸術について深く学ぶ。

3.社会参加活動

 地域のイベントやフェスティバルに参加し、地域社会の一員として社会貢献の経験をする。

 社会的な影響

 ラーケーションの導入は、教育界だけでなく、社会全体に幅広い影響を与える可能性があります。

1.家族との関係強化

 ラーケーションを通じて、親が子供の学習活動に直接参加する機会が増えるので、自然と親子間のコミュニケーションが促され、関係を強化するという効果が期待できます。忙しい日常から離れ、家族が一緒に新しい体験活動をすることによって、お互いの理解を深める貴重な時間になります。

2.地域経済への貢献

 ラーケーションを利用する家族が地域の観光地や施設を訪れることで、休日や観光シーズン以外でも経済活動が活発になる効果が期待できます。特に観光地や地方の文化施設にとっても新たな収益源となり、地域経済の安定化に貢献する可能性があります。

3.子供の親の休み方改革

 厚生労働省の調査では、有業者のうち、土曜日に働いている人の割合は45.5%、日曜日に働いている人の割合も30.4%にも上り、有給休暇の取得率は58.3%にとどまるという結果が出ています。ラーケーションにより、平日に有給休暇を取得する親が増えることによって、ワークライフバランスが向上することが期待できます。

数学の先生

社会的にも良いことが多いんだね!

 課題点

 ラーケーションにも課題がないわけではありません。考えられる大きな課題は、すべての家庭で平等にラーケーションの効果があるわけではないという点です。

 経済的に豊かな家庭では、ラーケーションの恩恵を受けやすい一方で、母子家庭など片親の世帯や、経済的に困窮している家庭では、そもそも親が仕事を休むことができないなどの課題が考えられます。

 また、地理的な要因でも、この制度を利用できる家庭とそうでない家庭が出てくることは避けられません。これにより、教育の機会に新たな不平等が生じる可能性も否定できません。

数学の先生

そもそも日ごろの生活に困っている家庭にはきついって話だね

 賛成意見と反対意見

 賛成意見

 調査によると、全体の約7割が「賛成」、または「どちらかと言うと賛成」という結果になっています。

 主な意見としては、「家族との思い出を作るのも大事だから」「家族との時間を優先しても良い」「混雑の分散になる」「平日の方が料金が安いため、家計への負担も軽減できる」という意見が多くなっていました。

 反対意見

 家族旅行などで学校を休ませることについて「反対」、または「どちらかいうと反対」という意見は全体の3割だったといいます。

 主な意見としては、「子供に学校は休んでいいものだと思って欲しくないから」「学校の勉強に遅れをとるのではと心配」「病気や忌引き以外で学校を休むのは良くないと思うから」などの、昔ながらの学校は休むべきではないという意見が多くなっていました。

 まとめ

 学校以外での学びの機会を増やしていこうとするラーケーションは、今後更に全国に広がっていくことが考えられます。「家族との時間を大切にしたいけど、学校を休ませることに抵抗がある」という保護者の方にも、今後影響を及ぼしていくでしょう。

 最近話題になる「働き方改革」や「休み方改革」が、学校以外での学びを重要視する「ラーケーション」にどのように影響していくか、今後も注目していきましょう。

 

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現役で中学数学を教えている先生。数学のプリントやICT関連の情報を発信していきます。
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