今年度、1つのクラスを1人の先生が見る「固定担任制」を廃止し、「チーム担任制」を試験的に採用している学校が増えました。先生の定額働かせ放題と言われている、働き方改革の切り札としても注目される取り組みです。

 この記事では、教育現場で採用が増えているチーム担任制におけるメリットとデメリットについて考え、まとめていきたいと思います。

数学の先生

チーム担任制を導入する前に必ず読んえでね!

 従来の固定担任制

 従来の「固定担任制」は、1人の先生が1年間を通じて特定の学級を担当する方法です。教員一人が責任と権限を持ち、学級経営にあたります。小学校では学習指導と生活指導、保護者への連絡も基本的には担任の先生が1人で行います。

 長時間、長期間、特定の子どもと関わることで、理解や関係性が深まりますが、逆にトラブルや性格の不一致があった場合も、1年間は関わらなくてはいけない上に、子どもを一面的な見方になってしまうというデメリットもあります。担任の先生とのトラブルで、学校に行けなくなってしまったという事例も多く発生しています。

 チーム担任制とは

  チーム担任制とは、各クラスに固定の担任の先生を置かずに、複数の先生が、月または週ごとに担任をローテーションしていくというものです。子ども達を担任の先生が1人で見るのではなく、学年全体、学校全体で見ていこうという主旨で始まりました。働き方改革の切り札としても期待されている取り組みです。

 このチーム担任制が注目されるきっかけとなったのが、2018年度、定期テスト廃止や宿題廃止など、斬新な教育改革を実施た千代田区立麹町中学校が学年全員で全生徒を見る「全員担任制」を導入しを行ったことです。

 チーム担任制を導入することにより、担任だけに責任を負わせるのではなく、学年や学校全体で子どもたちと向き合うことで、いじめや不登校、教員の労働環境の改善につながるのではないかと期待されています。

 メリット

 チーム担任制導入の一番のメリットは、生徒を複数の先生が多角的にみとることができるという点す。多くの先生が関わることで子どもの変化に気付いたり、さまざまなアプローチができ、子どからしても1人の担任の先生だけでなく、複数の先生の中から先生を選んで相談することができます。

 また、先生たちのとってもメリットがあります。業務を分担することにより一人ひとりの負担を減らすことができるほか、それぞれの先生の強みや専門分野を生かすことができます。ベテラン教員のやり方を若手教員が見る機会となり、教員同士の学び合いや業務の透明化につながることが考えられます。

 以下にメリットをまとめます

  • 子どもを多角的、多面的に見ることができる
  • 多様な教育ニーズに応えられる
  • 全ての先生が主体的に子どもと関わることができる
  • 先生同士のコミュニケーションを密にとれる
  • 子どもの長所や能力をさらに伸ばすことができる
  • 子どもが先生を選んで相談できる
  • 教員同士の学びあいになる
  • 教員の働き方改革につながる

 デメリット

 チーム担任制は教員同士のコミュケーションやチームワークにかなり依存することになります。先生同士の仲が悪く、うまく連携が取れなければチーム担任制は全く意味を持たないものとなってしまうでしょう。また、「情報共有の手間」は間違いなく増えるので、そこを怠ってしまえば、やはりチーム担任制をやる意味はないでしょう。「〇〇先生の方が好き」というような人気の偏りが生じ、一人の先生に負担が増えたりすることも可能性としてはあります。

 また、ここ数年の教員不足により、そもそもチーム担任制を導入することが難しい学校や自治体が少なからず出てくるでしょう。

 以下にデメリットをまとめます。

  • 責任の所在があやふやになる
  • 先生同士の連携がとれないと混乱の元となる
  • 子どもとの強いつながりや信頼関係が築きずらい
  • 「情報共有」という手間が増える
  • 保護者がどの先生に相談すれば良いか分かりづらい
  • 担任が授業をした教科の学習評価が難しい(小学校)

 まとめ

 世界でもっとも子どもが幸せと言われるオランダではすでに複数担任制が採用されています。日本では教員不足が問題になっている中、子どもの教育ニーズは多様化しています。また、教員の働き方改革がなかなか進まない現状において、「チーム担任制」がこれらを解決する一助になる可能性は十分にあるのではないでしょうか。

 

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管理者
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現役で数学を教えている中学校の先生です。中学の数学のプリントやICT関連の情報、ブログでは道徳や学級レクのネタも発信しています。
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