目次
教育虐待とは
「教育虐待」とは、教育熱心過ぎる親や教師が過度な期待を子どもに負わせ、思う通りの結果が出ないと厳しく叱責すること。子どもの人権を無視して無理やり勉強をさせたり、毎日習い事をさせたりする事などを社会通念上、許される範疇を逸脱して無理強いさせる行為のことです。
かつては「スパルタ教育」などと呼ばれていたのが、ここ数年、「教育虐待」と呼ばれることが増えてきました。
現代社会には大人から教育と言う名の暴力で痛めつけられている子どもが多くいます。親に無理強いされ、音を上げても耳を貸してもらえない子どもたちの心は砂漠のように渇き、ひび割れ、トラウマとなって、その子の人生を大きく変えてしまうことでしょう。
① 努力を踏みにじる発言をする
「なんでこんな問題も解けないんだ!」「これまで一体何をやっていたの!?」「自覚が足りない!」「もっと努力しろ!」
教育虐待の中でもっとも多いのが親の言葉による暴力です。子どもが思い通りの成績が取れなかったとき、感情的に子どもに暴言を言う親がいます。そのような強圧的な罵声は、自分の努力を否定され、ズタズタに切り裂かれた心の傷はなかなか癒えることはなく、一生背負っていくトラウマになってしまいます。
子どもにしてみれば頑張って、この点数が精いっぱいという気持ちだが、日ごろの努力は認めてもらえず、結果だけを見て、人格まで否定されるような叱責をされてしまう。
成長過程の子どもに対して厳しい言葉を投げかけたところで、良い方向に転がることは殆どありません。子どもは、なぜ自分の努力を認めてくれないのか、自分はダメな人間なんだと劣等感を膨らませ、何に取り組みにしても消極的になってしまいます。
② 他人と比較して咎める
「なんでお兄ちゃんはできて、あなたはできないの!?」「〇〇くんを見習いなさい!」「なんで〇〇ちゃんのようにできないの!」
このような発言をする親は、周りにいる優秀な子どもと比較して、自分がどれだけ劣っているか悪意を込めて指摘します。
兄弟だからと言って、持っている能力が全く同じということはないですし、一人ひとりに特性があります。本人の努力や環境によって補えることもありますが、学習障害のように簡単には克服できない問題もあります。
親がそのようことを知らずに上記のような発言をすれば、それは大きな劣等感として子どもの心の成長を阻むことになるでしょう。
③ 恩着せがましい言葉をかける
「塾にいくら払っていると思っているんだ!」「あんたのために毎日働いているんだ!」「叱るこっちも辛いのよ?」叱らせているのはあなたなのよ!?」「あなたのためを思って言っているのよ!?」
親に一方的にレールを敷かれ、無理やり勉強や習い事をさせられているだけなのに、親から恩を着せるような言い方をされても、子どもからしたら不当な言いがかりにしか思えないでしょう。
面と向かってこれらの発言に反論できる子どもはいません。毎日のように親から「これだけ協力してやっているんだぞ」と言われると、子どもは知らず知らずのうちに親に対して、申し訳ないという感情を抱いてしまいます。
過度なプレッシャーかけられた環境で子どもが成長することはとても難しいですし、多くの場合は成長を妨げ、心を壊してしまう原因になるでしょう。
④ 退路を断つ発言をする
「今やらないと一生苦労することになるぞ!」「受験に落ちたらすぐ家を出て働きなさい!」「滑り止めの学校に行くことになったらあんたなんかすぐにいじめられるわよ!」
子どもはこのような発言をされると、逃げることを罪だと思ってしまいます。自分のせいで人に迷惑をかけられない、学校でいじめられたくない、家を出て行っても行くところなんてない。
虐待する親はこのように無自覚に子どもから逃げ道を奪ってしまいます。逃げ道を奪ったにもかかわらず、「やめたければやめればいい」と言い放ちます。
こうした状況下で子どもが自分から「受験勉強をやめる」などの決断を下すことなどできるわけもなく、不本意ながら「やります」と答えざるをえなくなるでしょう。
⑤ 長時間学習を強要する
小学生のうちから毎日夜遅くまで勉強させ、勉強机に縛り付けるようにして問題を解かせる親がいます。このような親は塾だけでなく、家庭教師などを並行してやらせることもあります。
学校から帰ってきた15時頃から家で勉強させ、夕方18時頃から塾に行かせ、変えった10時頃から0時過ぎまで勉強をさせる親がいます。やみくもに長くやるだけの勉強は、短時間集中して行うよりも効率が悪くなりますし、何より本人の「勉強したい」という意思に反してやらせているので、長時間に見合った結果は出ないことが多いです。
これだけたくさん時間とお金をかけて勉強しているにもかかわらず、それに見合った結果が出ないわけですから、さらに習い事を増やしたり、勉強時間を増やしたりしてしまい、悪循環になってしまいます。
⑥ 子どもをリベンジの手段とする
教育とは社会で生き抜く力を養うために行われるべきものですが、教育虐待をする親は、子どもの教育を、自分自身の目的を実現する手段と考えていることがあります。典型的な形としてあげられるのが、学歴コンプレックスへのリベンジです。
そのような親は往々にして、「自分自身が低学歴で肩身の狭い思いをしたから、子どもにそんな思いをさせたくない」と言うのですが、実際は子どもを使って積年の屈辱を晴らそうとしていることが多いです。
子どもを高学歴にすることで自己実現を果たそうとしているため、子どもが自分の思う通りの成績や結果を残せないと感情的になって暴力を振るうこともあります。
受験勉強が親のリベンジの手段となってしまった瞬間、何が何でも目的を果たそうとしてしまう。そこには子どもが勉強を好きとか嫌いとか、能力が高いとか低いとかは関係なく、子どもを使って目的を果たそうとすることしか考えられなくなってしまいます。
まとめ
教育虐待をする親の基本姿勢は、子どもの支配、洗脳です。自分こそが正しいと信じ込み、意のままに子どもを操ろうとします。子どもが教育虐待を受けることによって一生にわたる大きな傷を負うことは確かです。もしそのような状況下に子どもが置かれているのならば、できる限り早く親の支配から離れる必要があるでしょう。
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現役で数学を教えている中学校の先生です。中学の数学のプリントやICT関連の情報、ブログでは道徳や学級レクのネタも発信しています。
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