学校現場におけるスクールカウンセラー(SC)の必要性は年々高まっています。不登校、ネグレクト、虐待、SNSトラブルなど、子どもの抱える課題が多様化、複雑化しています。

 この記事では、現在スクールカウンセラーに求められる学校での役割について書いていきたと思います。

中学の先生

この記事はこんな人におすすめ!

・スクールカウンセラーについて知りたい

・スクールカウンセラーが学校で何をするのか知りたい

 スクールカウンセラーとは

 スクールカウンセラーとは心理についての専門知識を持つ、児童生徒が抱えるさまざまな教育的課題を解決するために助言、指導などを行う「チーム学校」を構成するスタッフです。

 児童生徒の校内暴力、不登校などの問題に対して、当初は教員による指導の機能を高めるという対応が行われていましたが、次第に厳しい指導方法が効果的でないことが証明し始められ、教師がもっと児童生徒に寄り添う教育相談やカウンセリング技術を身につけることが求められるようになりました。

 登校拒否児童生徒数が年々増加する中、2008年度より「スクールソーシャルワーカー活用事業」が開始し、スクールカウンセラーの配置は年々拡充され、2021年度にはおよそ30,000校に配置されました。

 相談体制についての確認

 学校にはスクールカウンセラーとの相談調整役の教職員(主に教育コーディネーター)がいます。まずは相談する場所をどうするか、相談する時間はいつなのかを確認する必要があります。主に児童生徒とカウンセリングするときは昼休みと放課後なので、この時間はできるだけ空けておきましょう。また、自分の子どもに学校にいる姿を見られたくないという保護者も多く、保護者との面談は学校の授業中である場合が多いです。

 先生と連絡を取り合う場面も多いので、先生が授業などのない時間を確認することも大切でしょう。放課後の児童生徒のカウンセリングは何時まで行ってよいかも確認をしましょう。

 学校内で共通認識をする

 全職員にスクールカウンセラーの活動や相談室の運営についての共通認識を図る時間を作る必要があるでしょう。職員会議などの時間を少しもらい、どのように生徒に対応するか、必要であれば授業参観をすることなど、先生方に周知し、理解をしてもらいましょう。

 相談室だよりなどをどのように発行していくのか、最初に基本的方向性を示すと良いでしょう。

 相談の予約方法について児童生徒に周知する

 予約の方法について児童生徒に伝える必要があります。スクールカウンセラーに直接予約する方法、担任の先生や養護教諭を通して予約する方法、保護者から電話して予約する方法を周知しましょう。

 また、そのときにどんな状況で相談ができるかも知らせておくと良いでしょう。誰にも聞かれたくない、落ち着いた場所で相談を聞いてほしい、逆にあの子と一緒に相談したいなど、どのような状況で相談ができるかを知らせておくこども重要です。

 担任の先生では聞けないことを子どもから引き出す

 例えば担任の先生が男性だった場合、女性ならではの悩みなどを相談することは難しいでしょう。家庭が父子家庭で、相談できる女性の大人はスクールカウンセラーの先生だけ、なんてことも珍しくありません。

 その子どもに関わる先生方の特性などを理解しながら、スクールカウンセラーの先生だからこそ話してくれることを子どもから引き出し、先生方と情報を共有することで、その児童生徒のより良い対応を考えていきましょう。

 家庭訪問

 自治体によって対応は様々で、担任教員が同伴する必要がある場合やスクールカウンセラー一人でも家庭訪問ができる自治体もあります。学校を離れるわけですので、時間調整も必要です。また、家庭訪問してくれるなら喜んでSCと会う児童生徒もいれば、家庭訪問を極端に嫌がる児童生徒もいるので配慮が必要です。

 自治体の規定や先生、保護者、児童生徒と相談をしながら家庭訪問を行うかの判断をするべきでしょう。

 ケース会議

 児童生徒に対して、継続的に対応しなければいけない場合や、即対応しなければいけないケースが生じたときにケース会議は行われます。担任、特別支援教育コーディネーター、教頭、校長、必要であれば学校外の関係機関の人が参加する場合があります。

 スクールカウンセラーは参加することが望ましですが、勤務日ではない日に行われることがありますので、自分の勤務日にケース会議の記録に目を通し、情報共有や意見交換を果たす必要があるでしょう。

 継続的見守り

 カウンセリングの継続の必要性は教職員や児童生徒、保護者のニーズによって決まりますが、スクールカウンセラーや教職員がカウンセリングの頻度を少なくしても大丈夫だろうと思うような頃になると、児童生徒や保護者もまた何かあった時でいいかなと感じていることが多いです。

 スクールカウンセラーはその学校に勤務しているので、いつでも気軽に会いにいったり、話したりすることができる安心感があります。

 学校間での引継ぎ

 小学校から中学校に入学してくる場合や、児童生徒が転入してくる場合に配慮や支援を必要とする児童生徒についての引継ぎが行われることが多いです。前の学校のスクールカウンセラーと直接話をして、引継ぎができると良いのですが、難しい場合は引き継がれる情報をしっかりと把握する必要があります。

 また、スクールカウンセラーが異動や退職をしてその学校を離れる場合も、次のスクールカウンセラーへと情報を引き継ぐ必要があります。引き継を疎かにしてしまい、子どもに不利益が出るということがないようにしましょう。

 まとめ

 子どもが抱える悩みや課題が、複雑化、多様化し、さらに教員の長時間労働が問題になっている現代において、スクールカウンセラーが学校現場で担う役割は重要度を増しています。記事の内容はスクールカウンセラーの役割の一部に過ぎないと思いますが、これからスクールカウンセラーを目指す人たちの役に立ってくれたら嬉しいです。

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管理者
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現役で数学を教えている中学校の先生です。中学の数学のプリントやICT関連の情報、ブログでは道徳や学級レクのネタも発信しています。
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