それぞれの家庭に事情があり、子育ての環境もさまざまですが、どんなに優秀な人でも子育てに悩まない親はいないでしょう。子どもが忘れ物をしたり、学校に行く準備が遅かったり、勉強をしなかったりすると、ついつい口うるさく「~しなさい」と言ってしまうと思います。

 親からしたら良かれと思って言っている言葉でも、それが子どもにとって良い影響を与えるとは限りません。普段何となく子どもにかけている言葉が子どもの未来を悪い方へ変えてしまうかもしれません。

 今回の記事は子どもに言ってはいけない言葉、かけてはいけない言葉7選を紹介していきたいと思います。

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「みんなと仲良くしなさい」

 みんなと仲良くできることは決して悪いことではないし、仲良くできることに越したことはないですが、実際に関わる子どもみんなと仲良くすることは不可能でしょう。「みんなと仲良くしなさい」の裏には大人の事情である、誰かとトラブルになったら面倒だというような大人の事情があることが子どもにも伝わります。

 みんなと仲良くしなさいという言葉は、みんなと仲良くできない子はダメな子と、子どもに伝わり、自分の個性を出さないように周りに合わせるような子どもになり、周囲の反応を伺いながら自己決定の弱い人間になっていきます。そして、仲良くできない子が現れると、仲良くできない自分はダメな子と思ってしまうのです。

 学校のクラスでも、本当に伝えるべきは「みんなと仲良く」ではなく、仲良くできない子とどう付き合っていくかをしっかりと子どもと話していくことです。

「お兄(お姉)ちゃんなんだから」

 子どもを二人以上育てている家庭では一度は言ってしまうと思います。兄弟喧嘩をなだめるために「お兄ちゃんなんだから我慢しなさい」とか「お姉ちゃんなんだから妹に譲ってあげなさい」と子どもに言ってしまうと、「お兄ちゃんなんだから役割を果たしなさい」という役割を期待する声掛けとなってしまいます。

 親が役割を期待すれば、子どもはそれに応えようとするでしょう。本人の個性を無視した言葉なので、子どもいくら期待に応えようとしてもどこかで必ず無理が生じるでしょう。うまくいっているうちは良いかもしれませんが、うまくいかなくなったときに一気に自信を喪失させてしまいます。また、役割を期待する声かけは期待に応えようとする素直な子ほど苦しむ傾向にあります。

 中学でよく見るケースは、兄や姉が偏差値の高い高校に受かっていて、その期待を親からかけられている弟、妹はかなりのプレッシャーを受けていて、受験に近づけば近づくほど顔色が悪くなったり、問題行動が増えることがあります。

「頑張りなさい」

 「頑張りなさい」の言葉は、励ます言葉としてはとても良い言葉だと思います。しかし、受け取る側によっては180度意味が変わる言葉であることを知っておいてください。

 例えば誰かと比べての「頑張りなさい」という言葉は、「自分は頑張っていない」や「頑張れないお前はダメな子だ」などの否定の意味として受け取ってしまいます。親からすれば子どもを励ます意味で言ったつもりの言葉でも、子どもがどう受け止めているか配慮することも大切です。

 子どもが結果をダメだしされたように捉えかねない「頑張りなさい」でなく、過程を励ます「頑張っているね」や、結果を認めてあげる「頑張ったね」というような言葉にすると良いです。

「早くしなさい」

 子どもが学校に行く準備が遅くて、「早く準備しなさい」や、物を散らかして「早く片付けなさい」など、子どもを急がせるような声掛けをする親はとても多いと思います。

 その声掛けの裏には、「学校に遅刻してしまうから」「片付けないとご飯の準備ができないから」など、「なぜ早くしなければいけないのか」という理由があるのですが、子どもはそれをなかなか理解することができません。

 大切なのは「なぜ早くしなけばいけないのか」をしっかりと子どもに伝えてあげることです。急ぐ必要性が分かれば、自分で時間を見ながら行動する力がつくでしょう。

 理由をしっかりと伝えられなければ、子どもの先を読む力、逆算して今どうするべきかを考える力は身につかないでしょう。

「何度言ったら分かるの」

 この言葉があまり良い言葉ではないのはおそらく誰もが分かると思いますが、子どもを叱るときによく言ってしまいますよね。この言葉を、子どもは「何回言っても分からない自分はダメな子」と受け止め、自己肯定感を失っていきます。

 自己肯定感とは、ありのままの自分を肯定できる感覚のことで、決して他の人との比較であってはいけません。子どもが、自分の存在に価値があるんだと思えるこの感覚は豊かない人生を歩む根源と言っても良いでしょう。

 「誰かと比べてお前は~」のような意味がチラつくこの言葉は言うべきではありません。もしイライラして言ってしまったのであれば、「あなたはありのままで価値があり、大切に思っている」ことを子どもにしっかりと伝えてあげてください。

「うちの子なんて」

 自分の子どものことを話すとき必ず「うちの子なんて~」というような言葉を言っていないでしょうか?自分の子どもを誇らしげに自慢することは不自然だし、思っていなくても謙遜の意味でみなさん使っていますよね?

 親同士だけの会話だけであれば何も問題はないでしょう。しかし子どもに聞かせることにメリットはないでしょう。やはり子供にとっては自己肯定感を損なってしまうかもしれない言葉になります。もし聞かせてしまったのであれば、そのあとしっかりとフォローをしてあげれば、子どもは自己肯定感を損なわずに済むでしょう。

「勉強しなさい」

 小中学生の子どもが親から言われたくない言葉第一位と言ってもよいでしょう。しかし親からしたら、テスト前なのにダラダラとテレビを見ていたり、スマホをいじっていたりすれば、「勉強しなさい」と言いたくもなるでしょう。

 小学生低~中学年の子どもにとってはやはりこの言葉はかなり重く、「テストで良い点を取らなきゃいけない」というようなプレッシャーとなり、早々に勉強嫌いになってしまうかもしれません。

 中学生くらいであれば、この言葉が深層心理に突き刺さるようなことはないとは思いますが、皆さんも経験がある、「勉強しなさい」と言われると勉強したくなくなる現象。あれは「ブーメラン効果」といって、人間は行動を制限されると無意識に反発する心理があります。

 勉強以外の話題もしっかりと子どもとしてあげるのが良いでしょう。勉強の話ばかりではなく、子どもの興味の持っていることや、友達との話を聞きながら「勉強で困ってることない?」というような声掛けが良いでしょう。

 まとめ

 いかがだったでしょうか。1度言った程度では大きな問題ではないでしょうが、家族で生活している中で、何年も毎日言われ続けていればそれは大きな差となって表れるでしょう。親のかける言葉によって性格や人格が形成されていきます。大事な時期にかける言葉は一言一言に気を使うべきでしょう。

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現役で数学を教えている中学校の先生です。中学の数学のプリントやICT関連の情報、ブログでは道徳や学級レクのネタも発信しています。
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