
「子どもが算数を苦手にしているけれど、家庭で何をしてあげればよいのだろう」
子どもの苦手意識をなくしたいけれど、子どもにどのように教えたら良いかわからないという方も多いでしょう。
算数の苦手を克服するために、たくさんの問題を解くことはもちろん大切です。
しかし、解き方を覚える練習だけを繰り返しても、問題の形が少し変わると対応できないことがあります。必要なのは、問題数を増やすことだけではなく、子どもの「考え方」そのものを少しずつ変えていくことです。
この記事では、15年間、算数・数学の授業に携わってきた私の経験をもとに、算数の苦手を克服するために身につけたい3つの習慣を紹介します。
算数を学び始める年齢から、この習慣を身につけることで、将来的な算数の力は大きく変わることでしょう。
結論から言うと、算数の苦手を克服する3つの習慣は以下のものです。
算数の苦手を克服する3つの習慣
- 絵や図にして考え方を整理する
- 習ったことの先の問題を予想して解く
- 自分で出した答えが正解したという成功体験を積み重ねる

1つずつ詳しく見ていきましょう!
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算数の苦手は「学び方の習慣」で変えられる
算数が苦手な子どもには、
- とにかくたくさん計算練習をさせたほうがよい
- 同じ問題を繰り返し解かせよう
と考えがちではないですか?
確かに、理解の定着を図るための反復練習は必要です。
もちろん、計算の仕方を覚えたり、問題に慣れたりするための反復練習は必要です。
しかし、練習を繰り返すだけでは苦手を克服することは難しいですし、同じ問題を何度も繰り返し解くのは効率も良くないです。
その原因の一つは、問題の解き方だけを覚え、自分で考え方を組み立てる習慣が身についていないことです。
この記事で紹介するのは、次の3つの習慣が身につくと、子どもは分からない問題に出会ったとき、すぐに諦めたり、頭の中から公式を探したりするのではなく、「図にできないかな」「習ったことが使えないかな」と、自分の力で考え始められるようになります。
そして、自分で考えて正解できた経験が増えることで、「算数は苦手」「どうせ自分にはできない」という気持ちも少しずつ変わっていきます。
算数の苦手を克服する3つの習慣
習慣① 絵や図にして考え方を整理する

子どもの算数や数学の力を伸ばすうえで、ぜひ身につけてほしいのが、問題の内容を絵や図にして整理する習慣です。
学年が上がるにつれて算数や数学が難しくなる理由の一つに、扱う内容が少しずつ抽象的になっていくことがあります。
目の前にある具体物を数える学習から、分数・割合・速さ・比例など、目には見えない数量の関係を考える学習へと変わっていくのです。
そこで必要になるのが、抽象的な内容をできるだけ目に見える形に戻す力のことで、丸や線、矢印、図、表、グラフなどを使って、問題に書かれている情報や数量の関係を見えるようにするのです。
いわゆる「算数のセンスがある」「理解が早い」といわれる子どもは、問題文を読みながら、こうしたイメージを頭の中につくっていることが多いと感じます。
「何算か」を考える前に問題の場面を描く
文章問題を見た瞬間に、「かけ算で解くんだっけ?」「わり算で解くんだっけ?」「どの公式を使えばよいの?」と自分の記憶を辿る子どもが多いです。
自分が知っている計算や公式の中から、使えそうなものを探そうとしているのです。
しかし、問題の内容を理解しないまま、記憶を頼りに解こうとすると、問題の形が少し変わっただけでわからなくなってしまいます。
まずは、「どのような場面」で「何を求めようとしているのか」を絵や図にして整理することです。
たとえば、次の問題を考えてみましょう。
1dLで4/5㎡ぬれるペンキがあります。このペンキ3dLでぬれる面積は何㎡ですか。
dLや㎡といった単位、さらに分数まで登場します。そのため、問題を見ただけで「難しそう」「自分には分からない」と感じてしまう子もいます。
しかし、1dLでぬれる面積を一つの図として表し、それを3つ並べてみると、問題の意味が分かりやすくなります。

図を見ると、4/5㎡が3つ分あることが分かります。そのため、
4/5×3
という式で求められそうだと判断できます。
これはほんの一例ですが、図によって数量の関係が見えるようになった結果、必要な式が自然に見つかったのです。
「25分は何時間か」を時計で考える
もう一つ、例題を考えてみましょう。
25分は何時間ですか。
多くの子どもは、「60をかけるのかな」「60で割るのかな」と、頭の中から計算方法を探そうとします。しかし、時計の文字盤を思い浮かべると、考えやすくなります。

1時間は60分です。25分は、その60分のうちの25分に当たります。したがって、
25/60時間=5/12時間
と考えることができます。
【時計の文字盤で60分のうち25分を示した図】
このように図を使えば、覚えていた公式に数字を当てはめるのではなく、「なぜこの式になるのか」を理解しながら答えを求められます。
最初はノートに簡単な絵や図を描けばよい
問題の場面を頭の中だけで正確にイメージできる子どもは、ごく一部です。多くの子どもは、まずノートに絵や図を描きながら、考え方を整理する練習が必要です。
上手な絵を描く必要はありません。
たとえば、「兄と弟が同時に家を出て……」という問題なら、兄と弟を丸で表し、進む方向を矢印で描くだけでも構いません。速さや距離を矢印の近くに書き加えれば、問題に書かれている位置関係や数量の違いが見えやすくなります。
最初はノートに描いていた子も、何度も繰り返すうちに、少しずつ頭の中で図を思い浮かべられるようになります。
絵や図にして考え方を整理する力は、一朝一夕に身につくものではありませんが、分からない問題に出会うたびに、丸や線、矢印、表などを使って整理する習慣をつければ、見えない数量の関係を構造として捉える力が育っていきます。
習慣② 習ったことから少し先を予想する

子どもが算数を学ぶ場面では、「先生や保護者から解き方を教わり、その方法を使って問題を解く」という流れが中心になりがちです。
もちろん、最初に解き方を教えることが必要な場面もあります。しかし、いつも答えや方法を教えてもらってから考えていると、子どもの思考のスタート地点は「教わったあと」に置かれてしまいます。
そこで取り入れたいのが、習ったことをもとに、まだ習っていない少し先の問題を予想して解く習慣です。
たとえば、「分数×整数」の計算ができるようになった子どもに、次のように問いかけます。
2/3×4は計算できるようになったね。では、2/3×4/5のような分数同士のかけ算は、どうやって計算すると思う?
まだ計算方法を教わっていなくても、子どもは自分が知っていることを使って考え始めます。
「分子同士と分母同士をかけるのかな」「通分は必要なのかな」「分数×整数では分子にかけたから……」など、これまでに習った知識を組み合わせながら、自分なりの予想を立てようとします。
予想した答えが正しくなくても構いません。自分が持っている知識を使い、まだ知らないことについて考えようとする過程そのものに、大きな学びの価値があります。
少し先の内容を考えさせる問いかけの例

少し先を予想させる問いは、難問である必要はありません。今学んでいる内容の延長線上にある問題を示し、「この場合はどうなると思う?」と問いかけるだけでも十分です。
分数×整数から分数×分数を予想する
2/3×4は計算できるね。では、2/3×4/5はどうやって計算すると思う?
「分子同士、分母同士をかけるのかな」「通分するのかな」など、知っている分数の計算と結びつけて考えられます。
分数÷整数から分数÷分数を予想する
3/5÷2は計算できるね。では、3/5÷3/2はどうやって計算すると思う?
割る数が分数になったとき、これまでの考え方をどのように広げればよいのかを考えるきっかけになります。ここでの予想が、後に学ぶ「逆数をかける」という計算の理解にもつながります。
比例から一次関数のグラフを予想する
y=axのグラフは原点を通る直線だったね。では、y=ax+bになると、グラフはどうなると思う?
比例のグラフについての知識を使いながら、加わったbがグラフにどのような変化を与えるのかを予想します。これは、比例と一次関数のつながりを理解するきっかけになります。
習慣③ 小さな「正解できた」を積み重ねる

算数や数学には、論理の美しさや、さまざまな知識がつながっていく面白さがあります。
「この公式はよくできている」「この考え方を使えば、別の問題も解ける」といった構造的な面白さに気づくことは、算数や数学を深く学ぶうえで大切です。
しかし、すべての子どもが、最初からこうした面白さを感じられるわけではありません。特に算数に苦手意識を持っている子どもにとっては、仕組みの美しさよりも先に味わってほしい喜びがあります。
それが、自分で出した答えが正解したときの「できた!」という喜びです。
もちろん、長期的には、答えを出すだけでなく、考え方や仕組みを理解することも必要です。しかし、深く考えようとする意欲も、「できた」「分かった」という小さな成功体験があってこそ育つものだと、僕は考えます。
正解する喜びが算数への自信を育てる
特に小学生の子どもたちは、問題に正解すると、とてもうれしそうな表情を見せます。
先生から「正解!」と声をかけられたり、プリントに丸をつけてもらったりすると、目を輝かせながら「やった!」と喜びます。子どもにとって正解することは、自分の考えが認められる体験でもあるのです。
この「正解できた」という経験が積み重なると、「算数は分からないもの」だった子どもの気持ちが、少しずつ変わっていきます。
「この問題なら自分にもできる」
「もう一問やってみたい」
「次はヒントなしで解けるかもしれない」
こうした前向きな気持ちが生まれれば、子どもは自分から問題に向かいやすくなります。

子どもが正解できる場面を意識してつくる
子どもの自信を育てるためには、難しい問題ばかりを与えるのではなく、正解できる問題を意識的に用意することも大切です。
私の授業では、タブレットを使って少し工夫が必要な問題を出し、子どもたちの解答をリアルタイムで確認することがあります。
正解している子がいれば、その場で「正解!」と伝えます。また、考え方や工夫がよかった場合には、クラス全体に紹介することもあります。
本人が正解できた喜びを感じるだけでなく、周りの友達から「もうできたの?」「その考え方、すごいね」と言われることで、さらに大きな達成感につながります。
家庭でも、子どもの理解度に合った問題から始めることが大切です。いきなり難しい問題に挑戦させるのではなく、まずは一人で解けそうな問題を選びます。
簡単な問題であっても、自分の力で正解できれば、それは立派な成功体験です。その小さな自信を次の問題につなげながら、少しずつ難易度を上げていきます。
学年が上がっても「正解したい」気持ちは変わらない
正解したときの喜びを素直に表現するのは、小学校低学年だけではありません。
学年が上がるにつれて、「やった!」と声に出すことは少なくなるかもしれません。しかし、中学生でも、正解したときの誇らしげな表情や、先生に褒められたときの照れた仕草から、うれしい気持ちは伝わってきます。
「正解したい」「自分の考えを認めてもらいたい」という気持ちは、学年が上がっても変わりません。
だからこそ、大人は答えが合っているかどうかを確認するだけでなく、子どもが「自分で正解できた」と感じられる場面を意識的につくる必要があります。
答えが出せないときには、小さなヒントを渡す。間違えたときには、正しく考えられている部分を見つける。そして正解できたときには、その喜びを一緒に味わう。
こうした小さな成功体験の積み重ねが、「算数は苦手」という気持ちを和らげ、「もっとやってみたい」という学習意欲を育てます。
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まとめ|学び方の習慣が算数の苦手を変えていく
算数の苦手を克服するために必要なのは、ただ問題をたくさん解いたり、公式を覚えたりすることだけではありません。
今回紹介した大切な習慣は、次の3つです。
- 絵や図にして考え方を整理する
- 習ったことの先の問題を予想して解く
- 自分で出した答えが正解したという成功体験を積み重ねる
もちろん、これらの力はすぐに身につくものではありません。
だからこそ、親や先生が「どんな図にできるかな?」「この先はどうなると思う?」「ここまでは合っているよ」と声をかけ、子どもの考える過程を支えることが大切です。
小さな習慣と成功体験の積み重ねが、算数への苦手意識を少しずつ和らげ、自分の力で考える自信につながっていきます。
投稿者プロフィール

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教育×ICTクリエイター|教育メディア運営
教員15年→2026/3退職 中学数学13年+小6算数専科2年
Apple Teacher・Kahoot!認定クリエイター
書籍「算数から数学への壁」(エール出版社)
授業で使える算数・数学問題、思考力を育てるクイズ、ICT活用法を発信。
これまでに5種類の兼業を経験し、ストック型副業で月10万円の収益を構築。
電子書籍「論理的思考問題50」はAmazonベストセラー第7位を獲得。
現在は教育コンテンツ制作、デジタル教材開発、教員の働き方や副業について発信中。
SNS総フォロワー数は約3万人。
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