比とその利用(授業の導入アイデア)

小学校6年生の算数で学ぶ「比とその利用」。授業を始めるときに、どのような導入をすればよいか迷う先生も多いのではないでしょうか。

教科書などでは、ケチャップとマヨネーズを混ぜてオーロラソースを〜のように始まります。

その導入がダメというわけではありませんが、そのまま「2:3」のような比の表し方に続いていくと、少し単調な授業になってしまうかもしれません。

この記事では、こうした「身の回りの比」を使った授業の導入アイデアを、授業ですぐに提示できる画像とともに紹介します。

今日紹介する授業は、第一回目でも、二回目でも使える内容だと思います。

「比とその利用」の導入をどうしようか悩んでいる先生は、ぜひ授業づくりの参考にしてください。

数学の先生

この記事で使っている画像は、そのまま授業で使えるようにつくりました!

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hiro先生(デジタル教材クリエイター)|note

教員15年→2026/3退職 中学数学13年+小6算数専科2年 教育メディア数学プリントDLサイト運営(月18万PV) 在職中に5種類の ストック型副業で月10万 電子書籍「論理的思…

導入【身の回りの比】

「身の回りにはどんな比があるかな?」授業の最初にこのように子どもたちに問いかけましょう。

なかなか難しい質問ですが、このように問うことで、子どもたちは〇〇比を思い浮かべようとします。子どもから出てきた比を黒板に書き出していきましょう。

おそらく子どもたちの発言ではそれほど多くの意見は出てこないと思います。

そこで、下の画像を提示します。

比とその利用(授業の導入アイデア)
身の回りの比

モナリザ、自転車、キャラクター、テレビ、iPad、ミルクとコーヒーの画像、並べた画像を提示して、次のように問いかけます。

この中には、すべて「比」が隠れています。どこに比が使われていると思いますか?

「モナリザと比にどのような関係があるの?」「自転車のどこに比が使われているの?」と、子どもたちに自由に予想させます。

正しい答えが出なくても問題ありません。大切なのは、「比は身の回りのさまざまなところで使われている」と気づかせることです。

子どもたちの予想を聞いた後、次の題材を一つずつ紹介していきます。

モナリザに隠れている「黄金比」

比とその利用(授業の導入アイデア)

子どもの興味を引きつける題材として、最初に紹介したいのが「モナリザ」です。

モナリザに使われている比は『黄金比』。黄金比という名前くらいは、聞いたことがある子どもも多いので、「あ!聞いたことある!」という反応が返ってくると思います。

黄金比とは、短い方を1としたとき、長い方がおよそ1.618になる比のことで、人が美しい、バランスがよいと感じやすい比として、絵画や建築物、デザインなどと関連づけて紹介されています。

モナリザの絵は、描かれている女性の顔のたてと横の比が黄金比になっていて、他にもミロのヴィーナスやパルテノン神殿、フランスの凱旋門などに使われていることを教えてあげましょう。

授業ではモナリザの画像を見せて、

この有名なモナリザの絵のどこかに比が隠れているといわれています。どの部分だと思いますか?

ただし、「モナリザは黄金比を使って描かれた」と断定するのは避けた方がよいでしょう。モナリザの構図を黄金比で分析する説はありますが、レオナルド・ダ・ヴィンチが意図的に黄金比を使ったと証明されているわけではありません。

また、小学校6年生の段階では1.618という細かな数値を計算させる必要はありません。「およそ1:1.6のバランスが、美しく見える比として知られている」と紹介する程度で十分です。

キャラクターに見られる「白銀比」

比とその利用(授業の導入アイデア)

日本で白銀比や大和比と呼ばれることのある比は、小数で表すと、およそ1:1.414です。

この比は、A4やB5といった紙の縦と横の比にも使われています。紙を半分に折っても、元の紙と同じ形になるのが特徴です。

授業では、添付画像のオリジナルキャラクターを提示して、

実はかわいいキャラクターにもある有名な比が使われているのですが、知ってますか?

と問いかけます。

例えばピカチュウやアンパンマン、ドラえもんなどの有名キャラクターにも白銀比が使われていると言われています。

有名なキャラクターを見せながら説明すると、子どもたちも飽きずに説明を聞くことができるでしょう。

自転車の進み方を変える「ギア比」

比とその利用(授業の導入アイデア)

自転車のギアにも比が使われています。

自転車には、ペダルにつながっている前の歯車と、後輪につながっている後ろの歯車があります。この2つの歯車の歯数の関係を表したものが「ギア比」です。

歯車でギア比を説明すると複雑になってしまうので、ペダル1回転につき、タイヤが何回転するかで説明をすると良いでしょう。

授業では、

ペダルを1回転させると、後ろのタイヤは何回転するでしょうか?

と問いかけると、比と回転数を結びつけて考えられます。

例えば自転車の「ギア1では、ペダル1回転につきタイヤは2回転する、ギア6ではペダル1回転につきタイヤは8回転する」とします。

子どもは自身の経験から自転車のギアはイメージしやすいですし、ギア1にするとペダルが軽くなって、ギア6にするとペダルが重くなることも納得がいくでしょう。

ペダル:タイヤ=1:8などのように書くと良いでしょう。

カフェオレとカフェラテの比

比とその利用(授業の導入アイデア)

カフェオレとカフェラテは、コーヒーとミルクを組み合わせた飲み物です。しかし、使うコーヒーの種類や、コーヒーとミルクの比が異なります。

授業では、2つのグラスの図を見せて、

この2つは、ミルクとコーヒーの割合が違うと、名前が違います。なんていうかわかる?

子どもたちはカフェオレとカフェラテの名前はわかるので、「そんな違いたあったんだ!」という反応が返ってくるでしょう。

ただし、お店やレシピによって割合は異なります。また、2つの名前は比だけで決まるわけではなく、ドリップコーヒーかエスプレッソかという作り方にも違いがあります。

カフェオレ

カフェオレは、ドリップコーヒーと温めたミルクを組み合わせて作ります。

コーヒー:ミルク=1:1

コーヒーとミルクを同じ量ずつ使うため、全体を2とすると、そのうち1がコーヒー、もう1がミルクです。

カフェラテ

カフェラテは、エスプレッソにスチームミルクを加えて作ります。代表的な割合は次のように紹介されています。

エスプレッソ:ミルク=1:4

全体を5とすると、そのうち4がミルクです。

テレビやiPadの「アスペクト比」

比とその利用(授業の導入アイデア)

テレビやiPadの画面にも、実は比が使われています。なんていう比かわかる?

と、授業で問いかけます。おそらくこの質問に答えられる子どもはほとんどいないでしょう。

画面の横と縦の長さの比を「アスペクト比」といいます。

現在のテレビやYouTube動画などでは、一般的に縦:横=9:16が使われています。

一方、iPadには、3:4の画面が採用されていました。

ここで授業で使える応用クイズをご紹介します。

テレビにiPadを映したとき、画面の両端に黒い部分が出てきます。

問題1…なぜこの黒い部分が出てくるのか?

問題2…この黒い部分はどれくらいの大きさか?

おそらくクラスの優秀な子の数人が気づくでしょう。

9:16と3:4を比べたときに、iPadの大きさを3倍すると9:12となり、片側に2の大きさの黒い部分がどうしても出てきてしまいます。

レベルの高い子向けですが、気付いた子は生き生きと考えるでしょう。

24金・18金・14金の違い

比とその利用(授業の導入アイデア)

金と呼ばれるものの中にも、「24金」「18金」「14金」というものがあります。

金製品では、全体を24として、そのうちどれだけ金が含まれているかを表します。

  • 24金…全体のほぼすべてが金です。一般的に「純金」と呼ばれます
  • 18金…全体の75%が金で、残りの25%には銀や銅などの金属が含まれています。比で表すと「金:その他=4:1」となります。
  • 14金…全体の約58.3%が金です。製品の品位表示では、K14を585、つまり58.5%として扱う規格もあります。

これらの題材を順番に紹介することで、子どもたちは、比が単なる計算方法ではなく、形・美しさ・動き・味・材料の割合を表すために使われている考え方だと実感できます。

まとめ

今回扱った比は、次の5種類に分けられます。

比の働き身近な例比が表しているもの
美しさや印象を決める黄金比・白銀比縦と横などのバランス
動きを変える自転車のギア比歯車やタイヤの回転の関係
形を決めるテレビ・iPad画面の横と縦の長さ
混ざり方を表すカフェオレ・カフェラテコーヒーとミルクの割合
含まれる量を表す24金・18金・14金金とほかの金属の割合

比は、教科書や計算問題の中だけにあるものではありません。

絵画やキャラクターの形、自転車のギア、テレビやiPadの画面、飲み物の材料、金製品の純度など、私たちの身の回りのさまざまなところで使われています。

「比とその利用」の授業を、いきなり比の表し方や計算から始めると、子どもにとっては新しい記号や解き方を覚えるだけの学習になってしまうことがあります。

そこで、まずは身の回りの具体的な場面を見せ、「こんなところにも比が使われているんだ」と気づかせることが大切です。比を使う目的や便利さが見えてくると、その後の比の値、等しい比、比を使った問題にも興味をもって取り組みやすくなります。

今回紹介した画像は、そのまま大型モニターやプロジェクターに映して、授業の導入に使用できます。

「比の授業をどのように始めようか」と迷っている先生は、子どもたちと一緒に身の回りに隠れている比を探すところから始めてみてください。

投稿者プロフィール

hiro先生
hiro先生
教育×ICTクリエイター|教育メディア運営
教員15年→2026/3退職 中学数学13年+小6算数専科2年
Apple Teacher・Kahoot!認定クリエイター
書籍「算数から数学への壁」(エール出版社)
授業で使える算数・数学問題、思考力を育てるクイズ、ICT活用法を発信。
これまでに5種類の兼業を経験し、ストック型副業で月10万円の収益を構築。
電子書籍「論理的思考問題50」はAmazonベストセラー第7位を獲得。
現在は教育コンテンツ制作、デジタル教材開発、教員の働き方や副業について発信中。
SNS総フォロワー数は約3万人。