小学校に通う子供を持っている親は、算数の授業でどんなことを学んでいるのか俯瞰しておくことが大事です。算数という「積み重ね」が重要な教科は、一度つまずいてしまうと、遅れを取り戻すことがとても難しくなります。
この記事では、小学校算数でつまずきやすいポイント、また、家庭でできる学習法などの克服するポイントを紹介したいと思います!
現役数学教師の僕が小学校算数の知っておくべきポイントを解説するよ!
この記事はこんな人におすすめ!
・算数の勉強でつまずいてしまっているお子様をお持ちの親の方
・子供に小学校算数でつまずいてほしくない親の方
目次
算数は積み重ねの教科
大前提として算数は「積み重ねの学問」です。1年生でやった内容が分からなければ2年生の内容も分からないですし、2先生が分からなければ3年生も・・・
つまり、一度算数につまずいてしまった場合、その単元が分からなくても次の単元から頑張る!ということはできません。算数の学習は全てつながっているからです。
一度分からなくなってしまえば、そこからの算数の授業は「ただ座っているだけの人」になってしまうでしょう。算数の授業はほぼ毎日あり、45分間、全く分からない話を聞き続けることは苦行になり、結果算数が嫌いになってしまう。このような悪循環がずっと続いてしまいます。
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【1年生】くり上がりとくり下がり
小学校に入学して最初の難関ですね。ここでつまずくとあっという間に算数が「苦手教科」になってしまいます。
12個のリンゴを5個食べたら残りはいくつ?のような問題は、10を基準にした数の概念を理解する必要があります。例えば1の位から10の位に移るときの「くり上がり」や10を借りてくる「くり下がり」は数量の移動を頭の中でイメージする必要があります。この概念は黒板と教科書で学ぶにはとても抽象的で、理解に苦しむ子供が多くいるのが事実です。
また、計算の手順の難しさもあるでしょう。筆算を適切な順序で計算する必要があります。これが混乱を引き起こし、つまずきの原因となることがよくあります。
克服ポイント
「5個のお菓子を持っている所に、お母さんが6個あげたら合計はいくつ?」などの日々の会話をたくさんしましょう。大前提にこの年代の子供の学習は、「勉強」ではなく「遊び」に限りなく近づけることがポイントです。
また、「10の補数クイズ」がおすすめです。親が「10は4といくつ?」「10は7といくつ?」という質問を遊びながら瞬時に答えられるように質問しましょう。これもあくまで「勉強」ではなく、「クイズ」のような感覚で楽しくやりましょう。
【2年生】九九の計算
ほとんどの方が「九九なんてすぐ覚えられるでしょ」と思うかもしれませんが、中学校で数学を教えていると、中学校3年生まで九九があやふやな子が実際にいます。
小学校2年生で重点的に学ぶ九九は、このタイミングで定着しなければ、今後の算数すべてで苦労することになります。特に7の段や9の段はあやふやになりやすいです。
九九は基本的には「暗記」になるのですが、81通りの異なる組み合わせを覚えることは簡単な事ではありません。九九には特定のパターンや規則性がありますが、最初はこれらを見つけて理解させようとすると危険です。例えば、5の段は5か0で終わるや、9の段は10の位と1の位を足すと9になるなどの規則性です。
克服ポイント
1番重要なのは「音」で理解させることです。九九を覚える時に必ず使う「九九の表」ですが、発達障害(ADHDやLD)などを持つ子供はたくさんの数字が書かれた表を見ると、文字が動いて見えたり、順番に数字を見ることができないことがあります。そこでリズムよく、「音」で九九を理解させることがとても重要です。
「音」に重点を置きながらも、そこに表やカードなど、視覚的に理解させる要素を取り入れていきましょう。また、アプリなどの使って楽しく反復練習することがとても大切です。上から言っていく「上がり九九」、下から言っていく「下がり九九」、ランダムに主題する「バラバラ九九」の練習も取り入れましょう。
【3年生】割り算、小数、分数
3年生の1番のつまずきポイントは割り算を用いた「分数」と断言できます。1よりも小さい数という概念を理解することが子供たちにとって難関となるようです。ここでつまずくと、小数や分数の計算などの発展した形は絶対にできるようにはならないので、早めに概念を理解することが必要です。
また、「真分数」(1より小さい分数)「仮分数」「帯分数」など、複雑になるにつれ、苦手意識が生まれてしまいます。分数はそもそも割り算であるということを理解させるのは時間がかかります。
克服ポイント
割り算は「アメ」(お菓子)、分数は「ピザ」で視覚的に概念を理解させることが重要です。
割り算では「9個あるアメを3人で分けたら何個ずつ食べられる?」や「7個あるドーナッツを2人で分けたらどうなる?」などの日常生活の会話から、割り算の概念や、あまりについても実体験の中で意識させましょう。
分数では「ピザ」を視覚的に見せることが有効です。例えば1/2や3/4は、ピザを2枚に切ったうちの1枚、4枚に切ったうちの3枚と視覚的にうったえて理解を促すことがポイントです。
【4年生】概数と四捨五入
4年生になると教わる数字も1億を超え、大きな数の計算をすることが増えます。イメージしにくいケタの大きな数が子供を混乱させます。3年生の割り算、小数、分数と合わせて、このあたりから算数も単純な計算以外の問題が増え、難易度もグッとあがるため、4年生でつまずく子供は一気に増えます。これは「4年生の壁」と言われる現象です。
また、およその数をもとめる概数が登場します。例えば日本の人口をを約1.2億人など、目的に応じて概数を利用することを学びます。概数でつまずく原因の一つは、このあたりから問題分が長くなるので、日本語を読み解くことが苦手な子が分からなくなってしまう可能性が高いです。
四捨五入では、やはりルール(4以下は切り捨て、5以上は切り上げ)を覚えることが難しいという点があります。また、どの位で四捨五入をす
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克服ポイント
子供にとって概数というおおよその数は理解にしにくい概念です。お買い物は算数のいろいろな力を高めてくれるものですが、概数もお買い物をしながらイメージを植えつけると良いです。実際にお買い物をしながら、「148円のものと198円のものを買うと、だいたいいくらになるかな?」や、お会計が489円であれば、いくら払えば良いか?などを実際に体験することで、概数の概念は少しずつ定着していきます。
四捨五入は、「四捨五入する位を選ぶ」→「切り捨てるのか、切り上げるのか」というプロセスを、ステップごとに分けて理解させることがポイントです。
【5年生】小数のかけ算とわり算、割合
整数なら簡単に解いていた子も、小数になったとたん分からなくなってしまうことは珍しくありません。小数のかけ算と割り算は、整数同士の計算に直してから、答えに小数点をつけます。この小数点を付ける過程でつまずく子供が多い傾向にあります。
割合は分数と同じく、イメージするのが難しいことがつまずきの原因となります。「割合とは何かをもとにして比較したときの倍数のこと」。この説明で「なるほど!」となる子供はまずいないでしょう。もとになる数字がコロコロと変わるので、子供を大いに混乱させます。
克服ポイント
小数のかけ算、わり算は答えのどこに小数点をつければいいかでつまずいてしまうので、計算のプロセスをしっかりと分けて練習するようにしましょう。1.まずは小数点を動かして整数同士の計算にする。2.整数同士の計算をする。3.動かした分だけ小数を戻す。この3つのプロセスを定着させましょう。
お家で割合について学ぶのであれば、料理を一緒にすることがおすすめです。お買い物と同様、料理にも算数の要素がたくさんあります。例えば「コップに2割水を入れて」や調味料を考えることで割合の概念をつかむことができます。また、割引や消費税の計算などでも割合を学ぶ機会はたくさんあります。
【6年生】図形の面積、立体の体積
基本的な計算はできても、図形になると何を計算した良いか分からない…。2次元である平面の広さ、3次元である空間を占める量が直感的に理解しにくく、苦戦するようです。
共通して言えるのは、面積も体積も形が変われば求め方が変わるということ。立体に関しては、小さい時から積み木などの立体に触れていないと、形そのものをイメージできないという難しさがあります。
中学で数学を教えていると、半数以上が円の面積が求められないということは珍しくありません。また、間違えた理由はほぼ全員が、円の面積と円周の求め方がごっちゃになっているという理由です。
克服ポイント
面積も体積も基本的には異なる方向の計算を、面積は2回、体積は3回行うというイメージを持つことが大切です。㎝を2回かけるから㎝×㎝=㎝²(平方センチメートル)になり、㎝を3回かけると㎝×㎝×㎝=㎝³(立方センチメートル)になります。
三角形は底辺×高さ÷2、台形は(上底+下底)×高さ÷2、直方体は底面積×高さなど、求め方をしっかりと整理して覚えることが必要です。これが分からないとそもそも問題を解くことはできません。
小さい時から積み木などの図形を触っていたという子供とそうでない子供では、頭の中でイメージする空間認識能力に大きな差が出てしまいます。
また、料理などで野菜をいろいろな形に切ることで、切った後の形や断面図について学ぶことができるので、日常生活の中で図形に触れる機会を多くしましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか?今回は小学校で習う算数のつまずきポイントと克服ポイントを紹介しました。
共通して言えることは、普段の学校の授業と同じくらい、日常生活の中で算数に触れる機会を増やすことが大切であるということです。幼少期からそのような体験を積み重ねることが、何よりも算数の苦手を克服してくれる大きな助けとなってくれるので、普段の買い物、料理、親子と会話を大切にしながら算数の力を高めていってください。
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