
GIGAスクール構想が始まり、生徒と先生に1人1台の端末が配られ、現在で6年目を迎えています。
2026年は、おそらくすべてのタブレットが一新され、第二次GIGAスクール構想が始まろうとしています。
教室にはWi-Fi環境や大型モニターが整備され、デジタルドリルやAI採点も導入された学校も少なくないでしょう。
その結果、教材提示や個別演習、情報共有といった場面は、これまでとは比べものにならないほど効率化されています。
実際、僕の授業の進め方は大きく変わったという実感があります。
この記事では、授業の主戦場が黒板からタブレットに変わったことで学校の授業はどうなるべきなのか?現場感覚で発信していきたいと思います。

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ICTで効率化される授業、減らない授業時数
GIGAスクール構想は2019年に閣議決定され、子どもに1人1台のタブレット端末と高速大容量の通信ネットワークを全国の小学校に整備する取り組みが、急ピッチで進められました。
私の学校にも、2021年には子ども全員にタブレットが届き、現在は5年目を迎えています。
私自身も授業にICTを積極的に取り入れていますが、この数年間で、授業のあり方は確実に変わってきていると感じています。
これまでは、黒板に板書し、それを児童がノートに写すというよくあるやり方に多くの時間を費やしていました。
僕はノートを取ること自体に意味がないとは思っていません。思考を整理したり、自分の理解を記録したりするうえで、ノートには大切な役割があります。
しかし一方で、何も考えずに黒板の文字をそのまま写しているだけの子どもがいるのも事実です。
ノートに書くことが勉強であり、綺麗に写すことがあるべき授業態度。このような価値観は、今でも学校の先生たちの間に根強く残っています。

極端な話をすれば、記録を残すという目的だけであれば、板書をタブレットで写真に撮るだけでも済んでしまう時代です。
これまで黒板を使って説明するしかなかった抽象的な概念を、ICTの活用によって視覚的にわかりやすく見せて、理解を促すことができるようになりました。
先生にタブレットの使い方のスキルがあれば、図形を回転させたり、グラフをリアルタイムで動かしたり、図形の上を点が移動する様子を見せたりすることができます。
これだけで、子どもたちは頭の中で漠然とイメージしていたものを、より具体的に捉えられるようになっています。
さらに子どもたちは、タブレット上で図形やグラフを自分の手で動かせるようになったことで、主体的に授業に参加しようとする姿も、以前より多く見られるようになりました。
このように授業の効率化は確実に進んでいます。

しかし、その一方で、授業時数そのものはICT導入以前と比べて、ほとんど変わっていません。
これまで以上に効率的に内容を伝えられるようになった今、本当に従来と同じだけの授業時間が必要なのか。
ふと立ち止まって考える必要があるのではないかと感じています。
ICTの活用によって、確実に“浮いた時間”が生まれているとすれば、その時間をどのように使うのか。
これからの教育現場に求められる新しい視点があるのではないかと、私は感じています。
浮いた時間を、“考える時間”に変えてみた

ICTの活用によって授業が効率化された結果、1時間の授業の中で、以前よりも5〜10分ほどの余白が生まれることがあります。
私はこの時間を、、子どもたちが“考えることを楽しむ時間”として活用できないかと考えるようになりました。
そこで取り入れているのが、順序や条件整理、推理といった要素を含む“クイズ的な論理的思考問題”です。
計算力や暗記力に頼るものではなく、ひらめきや論理的思考を使って解くことが求められる問題です。
算数や数学が苦手で、苦手意識のある子どもたちも、「この問題ならやってみたい」と、前のめりになって取り組む姿を見せます。
実際に、ふだん算数の授業では自信がなさそうにしている子が、手を挙げて自分の考えを説明しようとする場面もありました。
私はこのような問題を、授業の開始5〜10分でほぼ毎日出題しています。
この時間を楽しみにしている子どもも、少しずつ増えてきました。
考えることが楽しいと思えるような経験ができるこの時間は、子どもたちにとって大きな意味を持っていると感じています。
このような問題は、数学の教科書には載っていませんが、私はこの時間こそが子どもたちに「考えることって面白い」と感じさせる大切なきっかけになっていると思っています。
もちろん、何でも効率化すれば良いというわけではありません。
しかし、タブレットの導入によって授業にこれまで以上に多くの選択肢が生まれました。
特に数学の授業では、これまで言葉で説明していた抽象的な概念を「見せる」ことができるようになり、子どもたちの理解を助けられる場面が増えました。
また、以前と比べて効率化できている部分があるのも事実です。
だからこそ、浮いた時間で“何かをプラスできる”という意識がは大事なのではないかと感じています。
その時間を、子どもたちの思考力や意欲を育てる時間に変えていくこと。それが、現場の教員としてできる一つの選択肢だと、私は考えています。
「考えるっておもしろい!」が、子どもの伸びしろをつくる

「できる・できない」ではなく、「どう考えるか」。そして、「考えるって面白い」と感じられること。
私は、そこにこそ子どもたちの“伸びしろ”があるのではないかと感じています。
算数の計算が苦手でも、論理的なクイズや推理問題には、前向きに挑戦する子がいます。
普段全然数学の問題を解けなくても、このような論理的思考問題に関しては、クラスでトップクラスに解ける子もいます。
正解を出すことよりも、「なるほど、こう考えるのか」「やってみたらできた!」という体験が、その子にとっての成功体験になります。
このように、「できたかどうか」ではなく、「考えたことそのもの」が認められる時間は、子どもたちが安心して授業に取り組める貴重な場になっていると感じています。
ICTの導入によって、授業の進行は効率化され、“余白の時間”が生まれるようになりました。
その時間を、私は子どもたちが「考えるって面白い」と感じられる時間に変えていきたいと思っています。
思考力を育てるこうした取り組みの中で、教科書の枠を越えた、子どもたち一人ひとりの“伸びしろ”が少しずつ見えてくるようになりました。
そして、こうした経験の積み重ねが、結果的に算数への苦手意識の克服へとつながっていくのだと感じています。
考えることそのものが面白いと感じられる経験は、テストの点数にはすぐに表れないかもしれません。
しかし、「考えるって面白い」と感じられることこそが、これから先の学びを支える力になるのだと、私は信じています。
算数や数学に限らず、そうした子どもたちは、教科に関わらず、“伸びる子”になっていくはずです。
まとめ
GIGAスクール構想によって、教室には1人1台のタブレットが当たり前のように並ぶ時代になりました。
授業は確実に効率化され、これまで時間をかけていた説明や板書も、よりスムーズに行えるようになっています。
しかし、その一方で、授業時数そのものは変わっていません。
だからこそ今、私たちに求められているのは、「効率化した先で何をするのか」という視点なのではないでしょうか。
私は、ICTによって生まれた“余白の時間”を、子どもたちが「考えることを楽しむ時間」に変えていきたいと考えています。
「できる・できない」ではなく、「どう考えるか」。
そして、「考えるって面白い」と感じられる経験。
その積み重ねこそが、子どもたちの自信や意欲につながり、やがて学び続ける力へと育っていくと感じています。
ICTはあくまで手段であり、目的ではありません。その先にある子どもたちの学びをどう変えていくのか。
これからの教育は、その問いに向き合い続けることが大切なのだと思います。

投稿者プロフィール

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教育×ICTクリエイター|教育メディア運営
教員15年→2026/3退職 中学数学13年+小6算数専科2年
Apple Teacher・Kahoot!認定クリエイター
書籍「近日公開」
授業で使える算数・数学問題、思考力を育てるクイズ、ICT活用法を発信。
これまでに5種類の兼業を経験し、ストック型副業で月10万円の収益を構築。
電子書籍「論理的思考問題50」はAmazonベストセラー第7位を獲得。
現在は教育コンテンツ制作、デジタル教材開発、教員の働き方や副業について発信中。
SNS総フォロワー数は約3万人。
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