iPad vs Chromebook|学校で使うならどっちが良い?の画像

GIGAスクール構想により、全国の学校で「1人1台端末」が整備されました。

その中で多くの自治体・学校が直面したのが、「iPadとChromebook、結局どちらが学校に向いているのか?」という問いです。

導入当初は、価格や調達スピード、管理のしやすさといった観点から端末が選ばれるケース多かったかもしれません。

そして、GIGAスクール第2期を見据えた今、

  • どの端末を導入するべきか
  • 自分たちの学校の学びにあっているのはどの端末か

改めて整理する必要があると思います。

この記事では、
iPadとChromebookを学習面・管理運用面の両方から比較し、それぞれの長所と短所を整理します。

その上で、現場での実感も踏まえながら、どんな学校にどちらが向いているのかを考えていきます。

僕個人の感想は教育という観点ではiPadに強みがあると考えています。ただし、それは「Chromebookが劣っている」という意味ではありません。

両者はそもそも思想の異なる端末であり、選び方を間違えなければ、どちらも優れた学習者用端末になり得ます。

この記事が、「次にどの端末を選ぶべきか」を考えるための、判断材料の整理になれば幸いです。

数学の先生

Windowsは今回は省きました。すいません💦

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GIGAスクール構想で実際に選ばれた端末の割合と、その変化

GIGAスクール構想の初期段階(2020年)において、学習者用端末としてどのOSが選ばれたのか。

Googleが2020年に実施した調査では、次のような結果が示されています。

  • Chromebook:53%
  • iPad:23%
  • Windows端末:24%

この数字だけを見ると、「GIGAスクール=Chromebook」という印象を持つ方も多いかもしれません。

実際、当時は半数以上の自治体がChromebookを選択しており、iPadは約4分の1にとどまっていました。

この背景には、

  • 調達コストの低さ
  • ノートパソコンとしての親しみやすさ

があったのではないかと思います。

一方で、私自身がXでアンケートをとった結果は、下のようになりました。

Xでとったアンケート(592票)

注目すべきは、Chromebookの割合が下がり、iPadの割合が大きく伸びている点です。

初期導入時と比べると、iPadは「23% → 34%」と、明確に存在感を増しています。

この変化が示していること

この結果は、多くの学校・自治体が、「実際に数年間使ってみた結果」を踏まえて、次の端末を検討していることの表れだと感じています。

初期のGIGAスクールでは、

  • とにかく早く1人1台を整備する必要があった
  • 教育的な活用は「これから考える」という段階だった

という事情がありましたが、現在では

  • 授業の中でどう使われているか
  • 子どもたちの学び方に合っているか
  • どの端末が管理がしやすいのか

といった、使った後の視点で端末を見直す段階に入っています。

実際、僕の近隣の自治体もiPadを導入する学校が少し増えるという印象です。

色々な方からの意見を聞くと、

「管理はChromebookが楽だが、学習面ではiPadの良さも見えてきた」
という声が増えていることが、iPadの比率上昇につながっている可能性があります。

もちろん、Chromebookが選ばれなくなったわけではありません。

依然として最大のシェアを保っていることからも、管理・運用面での強さは今も高く評価されていることが分かります。

これらの数字からは、
「管理のしやすさ」と「学習の質」という、端末選定の評価軸が少しずつ分かれ始めている
そんな変化が読み取れそうです。

次の章では、こうした背景を踏まえたうえで、iPadとChromebookの違いを、具体的に整理していきます。

iPadとChrome bookの長所と短所まとめ

ここからは、僕が調べたiPadとChrome bookの長所と短所を以下の表にまとめましたので、この表を元に、両者を比較したいと思います。

iPadとChromebookの長所と短所まとめ

学習面から見た iPad と Chromebook の違い

まずは、授業や学習活動の中で児童生徒が直接触れる、学習面での違いから整理します。

ここでは、先ほど示した比較表をもとに、代表的な観点ごとに見ていきます。

手書き

手書きという観点では、iPadが明確に強みを持つと感じています。Apple Pencilを使った手書き入力は反応が良く、遅延もほとんどありません。

Goodnotesなどのノートアプリを使えば、

  • 板書の書き写し
  • 図や式を書きながら考える
  • 自分なりのまとめを作る

といった活動を、紙のノートに近い感覚で行うことができます

一方、Chromebookでもペン対応機種はありますが、書き心地や反応の点では、iPadと比べるとやや弱さを感じる場面があります。

「手書きで思考を整理する」「ノートを思考の場として使う」ことを重視する授業では、iPadのほうが扱いやすいでしょう。

動画活用

動画の視聴・撮影・編集といった活用でも、iPadは優位性があります。

カメラ性能が高く、

  • 実験や実技の撮影
  • 発表用動画の作成
  • 振り返り動画の視聴

といった活動を、直感的な操作で行えます。

Chromebookでも動画活用は可能ですが、カメラ画質や編集のしやすさという点では、iPadのほうがスムーズです。

特に低学年では、操作のシンプルさがそのまま学習への集中度に影響する場面もあります。

発達段階との相性

発達段階との相性は、端末選定において非常に重要な視点です。

一般的に、

  • 低学年〜中学年:直感的な操作、手書き、視覚的理解
  • 高学年〜中学生以降:文章作成、情報整理、タイピング

という傾向があります。

タッチ操作が中心で、操作が分かりやすいiPadは、特に低学年との相性が良い端末です。

一方、Chromebookはキーボード操作が前提となるため、高学年以降で力を発揮しやすいと言えます。

タイピング・キーボード

キーボード入力に関しては、Chromebookが有利です。

キーボードが標準搭載されているため、

  • レポート作成
  • 情報科・CBT試験への対応
  • タイピングスキルの習得

といった学習では、Chromebookが扱いやすい構成になっています。

iPadでも外付けキーボードを使えば対応可能ですが、別途機器の管理や故障対応が必要になる点は考慮が必要です。

アプリ/Web利用

アプリの選択肢という点では、iPadは教育向けアプリが非常に豊富です。

一方、ChromebookはWebアプリ中心の運用となり、クラウドサービスとの親和性が高いという特徴があります。

どちらが優れているかは、
「アプリ中心で学習を組み立てたいか」
「Webベースでの学習を重視したいか」
という考え方によって評価が分かれる部分です。


管理・運用面から見た iPad と Chromebook の違い

続いて、教育委員会やICT担当者にとって重要な、管理・運用面の違いを整理します。

端末管理・アカウント管理

管理のしやすさという点では、Chromebookが非常に優れています

Google Workspace for Educationと連携することで、

  • 端末管理
  • アカウント管理
  • 利用制限や設定変更

を、Google管理コンソールで一元的に行うことができます。

iPadの場合、
Apple School Manager
MDM
Google管理コンソール

といった複数の管理体系が必要になるケースが多く、運用の複雑さは否めません。

故障・代替機対応

故障時の対応でも、Chromebookは強みがあります。

ChromebookはGoogleアカウントでログインするだけで環境が復元できるため、代替機を渡すだけで授業を継続できます。

iPadでは、

  • データ移行
  • アプリ再設定

などが必要になり、教員やICT担当者の負担が増えやすい傾向があります。

アップデート

アップデート管理に関しても、Chromebookは管理者の負担が少ない設計です。OSアップデートが自動で行われ、容量も比較的小さいため、ネットワーク負荷も抑えられます。

iPadでは、OSとアプリの両方のアップデート管理が必要となり、タイミング調整が求められる場面も多くなります。

ランニングコスト

初期費用だけでなく、運用を含めたランニングコストでは、Chromebookのほうが抑えやすいという報告が多く見られます。

管理にかかる時間や外注費用まで含めて考えると、Chromebookは「長期的に見て管理コストが低い端末」と言えるでしょう。


ここまでの整理

ここまで見てきたように、

  • 学習面では iPadの強み が目立ち
  • 管理・運用面では Chromebookの合理性 が際立つ

という構図が浮かび上がります。

次の章では、
それでも私が教育という観点でiPadを評価している理由を、もう一段踏み込んで整理していきます。

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それでも私が「教育にはiPadが強い」と考える理由

ここまで、iPadとChromebookを学習面管理・運用面の両方から整理してきました。

管理のしやすさやコスト、運用の合理性という点では、Chromebookが非常に優れていることは間違いないでしょう。

ここからはiPadが大好きな僕の意見なので、少し贔屓目ではありますが、教育にはiPadが強いと考える理由を書いていきたいと思います。

その理由はシンプルで、iPadは「考える過程」をそのまま表現できる端末だからです。

”手書き”の強みが大きい

iPad最大の強みは、Apple Pencilを使った手書きです。これは単に「ノートがデジタルになる」という話ではありません。

  • 図を描きながら考える
  • 式を書き直し、消し、また書く
  • 矢印や囲みで関係を整理する

こうした思考の試行錯誤を、紙のノートとほぼ同じ感覚で行える点が、iPadの大きな価値です。

特にGoodNotesのようなノートアプリが使えることが一番大きいと考えています。

「ノートは写すものではなく、考えを可視化するための道具」
という学び方が自然に成立します。

キーボード入力は便利ですが、
考えが固まっていない段階では、
書きながら考えられる手書きのほうが、思考と相性が良い場面が多いと感じています。

発達段階との相性が非常に良い

もう一つ、iPadを評価している理由が、発達段階との相性です。

特に低学年から中学年にかけての子どもたちは、

  • まだタイピングに慣れていない
  • 思考を言語化する途中段階にある
  • 見て、触って、動かして理解する割合が高い

という特徴があります。

iPadは、

  • タッチ操作
  • 手書き
  • 直感的なUI

によって、学習の入り口を軽くすることができます。

「操作でつまずかない」ということは、それだけで学習に向かうエネルギーを守ることにつながります。

「学びの質」を支える端末であること

Chromebookは、「作る」「まとめる」「提出する」段階では非常に強い端末です。

一方で、iPadは、

  • 考え始める
  • 試行錯誤する
  • 発想を広げる

といった、学びの初期段階を支える力が強い端末だと感じています。

その意味で、手書き×iPadは、思考を残せる端末だと言えるでしょう。

何よりiPad × Goodnotesの組み合わせが本当に強い

iPadの強みを最大限に引き出しているのが、Goodnotesの存在です。

Goodnotesは本来有料アプリですが、学校のApple ID(管理対象Apple ID)を使えば無料ですべての費用が使えるようになっています。

この組み合わせの強さは、「授業」と「教員の業務」の両方を改善できる点にあります。

教員側にとっては、

  • 板書案の作成・保存・再利用
  • 授業中の板書、テレビを電子黒板のように使える
  • プリントや会議資料のデジタル化

など、日常業務を大きく効率化できます。

一度作った板書や資料を蓄積できるため、授業準備の質とスピードの両方が向上します。

一方、生徒にとっては、Goodnotesはそのままデジタルノートとして使えます。

  • 手書きで考えを整理する
  • 図や式を書きながら試行錯誤する
  • 自分なりのまとめを残す

といった学習活動が、紙のノートに近い感覚で行えます。

つまり、iPad × Goodnotes は、「教員の働き方改善」と「学習の質の向上」を同時に実現できる組み合わせ
だと言えるでしょう。

この点が、教育という視点で見たときに、iPadが持つ大きな強みだと考えています。

それでも「正解」は一つではない|学校・自治体ごとの最適解を考える

ここまで、iPadとChromebookを学習面管理・運用面の両方から整理してきました。

そのうえで、はっきり言えるのは、学校で使うタブレットに「万人にとっての正解」は存在しないということです。

Chromebookは、

  • 管理・運用が非常にシンプル
  • アカウント管理や初期化、代替機対応が容易
  • Google Workspaceとの親和性が高い

といった理由から、今もなお多くの自治体で選ばれ続けています
特に、ICT担当者の負担を減らしたい自治体にとっては、非常に合理的な選択肢です。

一方で、iPadは、

  • 手書きによる思考の可視化
  • 動画や画像を活用した直感的な学び
  • 発達段階に応じた柔軟な使い方

といった点で、学習の質を高めやすい端末だと感じています。

特に、iPad × GoodNotes の組み合わせは、授業改善と教員の業務改善を同時に進められる点で、大きな可能性があります。

だからこそ、

  • 管理の合理性を最優先するなら Chromebook
  • 学びのプロセスや思考の深さを重視するなら iPad

というように、「何を大切にしたいのか」から逆算して端末を選ぶことが何より重要です。

私は、教育という視点で考えたとき、手書きで考え、試し、整理できる環境を作りやすいiPadに強みがあると考えています。

しかし、それはすべての学校に当てはまる答えではありません。

この記事が、これから端末更新を迎える学校や自治体にとって、「自分たちにとっての最適解」を考える材料になれば幸いです。

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管理者
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現役で数学を教えている中学校の先生です。中学の数学のプリントやICT関連の情報、ブログでは道徳や学級レクのネタも発信しています。
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