
部活動や授業の中で、「ディベートに挑戦してみたい」「生徒にディベートの機会を与えたい」と考える中学校・高校が増えています。
しかし、いざ始めようと思っても、「どんなテーマでやればいいのか?」「本格的なディベートの進め方がよく分からない…」という壁にぶつかることも多いのではないでしょうか。
ディベートは“勝ち負けを決める口げんか”ではなく、自分の意見を論理的に伝え、相手の意見を根拠を持って受け止めた上で考えを深めていく学習活動です。
中高生にとって、論理的思考力・情報収集力・表現力を総合的に伸ばせる絶好の機会となります。
本記事では
✅ 中高生に適した本格的なディベートの進め方
✅ 授業でも使えるディベートの注意点
✅ 社会・政治・テクノロジー・倫理など多分野から厳選したディベートテーマ120選
をわかりやすくまとめました。
「実際に使えるテーマ一覧がほしい」「授業や探究の時間でディベートを導入したい」
という方にとって、すぐに活用できる内容になっています。

まずは興味のあるテーマから、ぜひ取り組んでみてください!

中高生にとってディベートが重要な理由

中学生・高校生は、社会の仕組みやルールについて学び始める時期です。
その中で「自分はどう考えるか」「なぜそう思うのか」を言葉で説明できる力が求められるようになります。
ディベートは、以下のような力を身につける上で非常に効果的な学習方法です。
■ 論理的思考(ロジカルシンキング)
意見 → 理由 → 根拠(資料・事例)という順に考える力が養われます。
■ 情報収集力
主張を支える資料を集める必要があるため、情報の取捨選択の力が身につきます。
■ 表現力・説得力
内容を理解していても、相手に伝わらなければ意味がありません。
根拠をわかりやすく説明する経験は、進学面接や社会に出た後にも活かされます。
■ 相互理解力
相手の立場・理由を理解しながら反論するため、「違う意見を受け止める姿勢」も同時に育ちます。
中高生向けディベートのやり方

中高生の場合、単に意見を言い合うだけでなく、「主張 → 根拠 → 反論」という流れを意識した本格的なディベート形式に挑戦することができます。
以下は授業や探究活動でも使える基本的な進め方です。
① テーマと立場(肯定/否定)を決める
教員がテーマを提示する場合もあれば、生徒同士で決める場合もあります。
立場は希望制でも構いませんが、あえてランダムに振り分けることで視野が広がります。
② 情報収集を行う(根拠集め)
教科書・新聞・統計データ・インターネットなどから、主張を裏付ける資料を集めます。
※この段階で「相手が使いそうな根拠」も想定しておくことがポイントです。
③ 主張を整理する(構成案をつくる)
<結論 → 理由 → 根拠(資料)>の順で整理すると、説得力のある主張になります。
※三段論法やPREP法(Point→Reason→Example→Point)を使ってもOK。
④ ディベート(主張 → 反論 → 再反論)
代表者またはグループごとに主張を発表し、その後に反論・再反論を行います。
⑤ 振り返り
「相手の意見の中で納得した点」「自分たちに不足していた点」などをグループ内で共有します。
勝ち負けではなく「議論を通して何に気づいたか」が最も大事なポイントです。
ディベートテーマ120選(中高生向け)
学校・教育に関するディベートテーマ(20選)
- 宿題は廃止すべきか?
- 定期テストだけで学力を評価するのは正しいか?
- 学校におけるスマホの持ち込みを全面的に認めるべきか?
- 部活動は学校ではなく外部(クラブ)に移行すべきか?
- 成績は絶対評価にするべきか?
- 授業にもっとディベートや探究活動を取り入れるべきか?
- 高校でのお金の教育(金融教育)は必修化すべきか?
- オンライン授業は対面授業より優れているか?
- 制服は自由選択にすべきか?
- 大学入試は廃止し、推薦/面接のみで選抜すべきか?
- 英語4技能(読む・書く・聞く・話す)を均等に評価するべきか?
- 美術や音楽などの実技科目は選択制にすべきか?
- 修学旅行は国内より海外へ行くべきか?
- “総合的な探究の時間”は必要か?
- 中高生にも地域ボランティアへの参加を義務付けるべきか?
- 成績通知表に「努力」や「態度」を含めるべきか?
- 進学校は職業教育・キャリア教育をもっと重視すべきか?
- 高校の部活動に「大会結果による成績評価」を導入すべきか?
- クラブ活動は週休日を必ず設けるべきか?
- 生徒が教師を評価する制度を導入すべきか?
SNS・メディアに関するディベートテーマ(20選)
- SNSは実名制にするべきか?
- 未成年のSNS利用に制限を設けるべきか?
- 匿名での誹謗中傷には刑事罰を適用すべきか?
- 学校は生徒のSNSの投稿を監視してもよいか?
- インターネットの情報は信頼できるか?
- SNSは人間関係の発展に役立つか?
- インフルエンサーは社会に影響を与えすぎているか?
- テレビよりもYouTubeの方が教育的であるか?
- 広告によって視聴者の行動が操作されていると言えるか?
- 子どものYouTuber活動を保護者は積極的に応援すべきか?
- SNSよりも新聞や書籍を読むべきか?
- AIによる記事生成はメディアとして認められるか?
- ネット上での「いいね」は価値ある評価と言えるか?
- ディープフェイク(偽動画)の拡散は規制すべきか?
- スマホ依存は社会全体の問題か?
- SNS上での政治的発言は必要か?
- 個人のSNS投稿は就職活動の評価材料にすべきか?
- インターネットでの読書(電子書籍)は紙媒体より優れているか?
- フィルターバブル(自分に合う情報だけが表示される現象)は問題か?
- いじめは現実よりオンラインの方が深刻と言えるか?
社会問題・政治に関するディベートテーマ(20選)
- 投票年齢を16歳に引き下げるべきか?
- ベーシックインカムを導入すべきか?
- 少子化対策として出産を促す政策は必要か?
- 公共交通機関を無料化すべきか?
- 死刑制度は廃止すべきか?
- 日本は移民を積極的に受け入れるべきか?
- 軽犯罪でも厳しく処罰すべきか?
- 防犯カメラの設置はプライバシーの侵害になるか?
- 少年法は廃止すべきか?
- 憲法改正は必要か?
- 子どもの貧困は自己責任ではなく社会の責任か?
- 戦争におけるドローン兵器の使用は倫理的に正しいか?
- 性別による賃金格差は法律で是正すべきか?
- 災害時の義務的ボランティア制度を作るべきか?
- 日本は核兵器禁止条約に参加すべきか?
- 学校で政治教育を積極的に行うべきか?
- 国民投票制度は拡大するべきか?
- マイナンバーカードは義務化すべきか?
- 生活保護の制度は見直すべきか?
- 公共の場での喫煙は完全に禁止すべきか?
環境・エネルギーに関するディベートテーマ(20選)
- 原子力発電は継続すべきか?
- 再生可能エネルギーだけで社会を支えるべきか?
- プラスチック製品は全面的に禁止すべきか?
- ペットボトル飲料の販売を廃止すべきか?
- 脱炭素のためにガソリン車を禁止すべきか?
- 環境保護よりも経済成長を優先すべきか?
- 食品ロス削減のために「食べ残し税」を導入すべきか?
- 守るべきは宇宙よりも地球の海か?
- 絶滅危惧種の保護より人間の生活を優先すべきか?
- 国をあげて植林活動を強化すべきか?
- スーパーのビニール袋は完全に廃止すべきか?
- 大都市への人口集中は環境問題を悪化させるか?
- 企業は環境に配慮した製品だけを製造すべきか?
- 環境保護のために肉の消費を減らすべきか?
- 気候変動は人間の責任か?
- “環境保護寄付”を税金として強制的に集めるべきか?
- 都市部は公共交通機関のみを利用する制度にすべきか?
- 森林伐採は完全に禁止すべきか?
- 生物多様性を守るために動物園を廃止すべきか?
- テレワークは環境問題の解決につながるか?

テクノロジー・科学に関するディベートテーマ(20選)
- AIは人間の仕事を奪う存在になるか?
- 自動運転車は全面的に導入すべきか?
- ロボットに「心」を持たせるべきか?
- 宇宙開発よりも地球環境の保護を優先すべきか?
- ゲノム編集(遺伝子操作)は認められるべきか?
- AIによる医療診断は医師よりも信頼できるか?
- ドローンによる配送サービスは都市で導入すべきか?
- SNSは未来の主なコミュニケーション手段となるか?
- VR・メタバースは教育に導入すべきか?
- 電子書籍は紙の本に完全に置き換わるか?
- eスポーツはオリンピック種目にすべきか?
- 宇宙に移住する日は本当に来ると思うか?
- 人間は不老不死を目指すべきか?
- クローン人間の研究は許可すべきか?
- テクノロジーは人間を幸せにするか?
- デジタルデバイド(ICT格差)は重要な社会問題か?
- AIに政治の意思決定を任せるべきか?
- ロボットが介護を担う社会は望ましいか?
- 月や火星の資源開発は進めるべきか?
- SNSでの「匿名性」は維持されるべきか?
文化・価値観・倫理に関するディベートテーマ (20選)
- 芸能人はプライベートも公表すべきか?
- 宗教は現代社会に必要か?
- 人間は他人を助ける義務があるか?
- お金よりも友情の方が大切か?
- 努力は必ず報われると言えるか?
- 芸術作品に高額な価格を付けることは正しいか?
- 動物は人間と同じ権利を持つべきか?
- スポーツは勝つことよりも楽しむことを重視すべきか?
- 表現の自由には限界があるべきか?
- 伝統文化は学校で教えるべきか?
- ファッションは自己表現として重要か?
- 国際交流は必須の教育と言えるか?
- 文化の盗用(カルチャーアプロプリエーション)は問題か?
- 有名人は社会問題への意見を積極的に発信すべきか?
- 愛国心は教育で育てるべきか?
- スポーツ選手は政治的な発言をするべきか?
- 将来の夢は早く決めたほうが良いか?
- 幸せは自分でつくるものか?
- ルールは守るためにあるのか、変えるためにあるのか?
- 多様性は社会にとって本当に必要か?
中高生がディベートをするときの注意点
中高生になると議論の内容が社会的・抽象的になるため、以下の点に特に気をつける必要があります。
■ 感情的な主張にならないように注意する
「嫌だから」「ムカつくから」など感情だけで主張すると説得力が失われます。
必ず事実・根拠・理由をセットにした説明を意識しましょう。
■ 相手を攻撃するのではなく“主張の論理”を問う
ディベートは“人”を否定する活動ではありません。
「あなたは間違っている」ではなく、「その主張の根拠としては弱いと思います。なぜなら…」という形で論理に着目して反論します。
■ 情報の信頼性を確認する(フェイク情報を使わない)
インターネット上の情報は正しいとは限りません。統計やデータを使う場合は、出典・日付・公的機関かどうかを確認しましょう。
■ 勝敗にこだわりすぎない
議論に勝つことが目的になると、強引な主張や感情的な反論になりがちです。「自分の意見を深める」「多様な考えに触れる」ことを目的として活動することが大切です。
良いディベートにするためのポイント
中高生のディベートでは「ただ意見を言い合う場」にならないよう、以下のポイントを意識することが大切です。
■ 論点を絞って議論する
1つのテーマでも論点が複数ある場合は、「何を中心に議論するのか」をあらかじめ決めておくことで、深い議論になりやすくなります。
■ 相手の主張を理解したうえで反論する
反論する前に「相手はこういう理由からそう考えている」と要約して示すと、建設的な議論になります。(※サマリー→反論の形式)
■ 客観的な根拠(データ・事例)を意識する
“自分の感想”だけでは説得力が弱くなります。
統計やニュース記事などを引用しながら主張を支える練習をしてください。
■ 議論後に「気づき」を振り返る
賛成・反対にかかわらず、「相手の意見の中で参考になった点」や「自分の主張の弱点」について振り返ることがディベートの最大の学びになります。
まとめ
ディベートは、単に「意見をぶつけ合う」活動ではありません。
自分の考えを論理的に説明し、相手の考えを理解した上で深めていく学習活動です。
中高生にとって、論理的思考力・情報収集力・表現力をバランスよく育てられる非常に実践的な機会となります。
今回紹介した120のテーマは、学校の授業や探究活動、部活動などでもそのまま使える内容になっています。
まずは興味のあるテーマから始めて、「立場を決めて主張し、根拠を持って説明する」経験を積んでみてください。
議論を通して“考える力”が一段深くなるはずです。

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現役で数学を教えている中学校の先生です。中学の数学のプリントやICT関連の情報、ブログでは道徳や学級レクのネタも発信しています。
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