教員のためのストレスマネジメントの画像

保護者対応や膨大な業務で「もう限界かもしれない」と感じている教員が心を守るためには、①自分なりの“境界線”を引くことと、②ストレスに囚われすぎない心の持ち方(レジリエンス)を身につけることが、最も効果的です。

現在、病気休職に至る教員の6割以上が精神的な不調を原因としています。

特に、対応が難しい保護者からのクレームや、一向に減らない業務量により、
「頑張っても報われない」「誰にも相談できない」「家に帰っても気持ちが休まらない」と感じている先生が少なくありません。

この記事では、そんな状況にある現役教員の方が、

・心の負担を必要以上に背負わずにすむ考え方
・毎日の中で実践できる具体的なストレスマネジメント方法

をわかりやすくお伝えします。

「自分の心を守ることは、子どもたちを守ることにつながる」——
まずは深呼吸しながら読み進めてみてください。

数学の先生

「学校行きたくないな…」と思ったら読んでください!

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どうしてここまで「しんどい」と感じてしまうのか

「頑張らなきゃ」「子どものために」と分かってはいるのに、朝、職員室に向かう足が重くなってしまう。それはあなたの心が弱いからではありません。

今の学校現場では、

  • 想像以上に重い保護者対応
  • 減らない業務量
  • 誰にも弱音を吐けない空気

― こうしたものが、日々あなたの心を少しずつ削っているのです。

しかも教員という仕事は、成果が“見えにくい”職業でもあります。

頑張ったとしても、「評価されない」「正解がない」という感覚が続き、気づかないうちに「自分のせいかもしれない」と自分を責めてしまいがちです。

まずはそのことに気付いてください。今あなたが感じている“しんどさ”は、とても自然なものです。

そして、それは「放っておいていいもの」ではありません。

だからこそ、これからお伝えする“心の守り方”を、少しずつ取り入れてみてほしいのです。

教員が抱えやすいストレスの具体例

教員が抱えているストレスの画像

日々学校で働く中で、あなたが感じている苦しさにはきちんと“理由”があります。

ここでは、教員が特に抱えやすいストレスの代表的なものを、3つに分けて整理してみます。

「それ、自分のことだ…」と思いながら、ぜひ読み進めてください。


保護者対応に追われ、気が休まらない

子どものために丁寧に対応しているつもりでも、保護者の方から理不尽な言葉や過度な要求が返ってくることがあります。

「勤務時間外の電話」「SNSでのクレーム」「一方的な批判」などが重なれば、学校にいても家にいても気が休まらない状態になってしまうのは当然です。

「また何か言われるかもしれない…」という不安が常に頭の片隅にあり、気づけば授業よりも“保護者対応が中心の毎日”になってしまった。

そんな状況に、胸が苦しくなっている先生は少なくありません。


業務量の多さと「誰にも頼れない」孤独感

授業準備、行事の企画、生徒指導、校務分掌、部活動…

教員の仕事は、やるべきことがいくらでも湧き出てきます。そして厄介なのは、「誰かに任せる」「分担する」という選択がとりにくいこと。

「忙しいのはみんな同じだから、相談してはいけない…」「自分がやらなきゃまわらない…」

そう思ってしまうがゆえに、自然と“一人で抱え込むクセ”がついてしまうのです。

ただでさえ業務が多いのに、頼ることもできない。この孤独な頑張りこそが、心の負担を大きくする要因になっています。


「先生だから頑張らなきゃ」という思い込み

教員は“子どものお手本”であるべきだ、弱音なんて吐いてはいけない――

そんな意識があるからこそ、どれだけ苦しくても表情に出さずに踏ん張ってしまいます。でも、本当はそれが心を追い詰めていることもあるのです。

「先生なのにこんなことで…」と自分を責めないでください。

あなたは十分頑張っているし、弱音を吐いてもいい立場です。

大切なのは、“頑張り続けること”ではなく、“自分を壊さないこと”。

心を守るための“5つのストレスマネジメント”

教員のためのストレスマネジメントの画像

「このままでは本当に潰れてしまうかもしれない」

そんな不安を抱えているあなたに、今日から少しずつ試してほしい“心の守り方”があります。

ひとつひとつは小さなことでも、続けることで心の負担は確実に軽くなっていきます。


① 境界線を引く(対応できる範囲を明確にする)

まず大切なのは、「ここまでは自分が対応する」「ここから先は対応しない」という線を引くことです。

勤務時間外の連絡に返事をしない、個人の連絡先は教えない、といった“ルール”を自分の中に持つだけでも、心は驚くほど落ち着きます。

対応できないことを無理して引き受けないことは、「手抜き」ではなく自分を守る技術です。


② 気にしすぎないための“気にしない哲学”

保護者や周りの言葉に「反応しすぎない」ことも、心を守るうえで大きなポイントです。

批判や誤解を完全に無くすことはできません。

だからこそ、「そういう意見もあるけれど、私は私のやるべきことをやる」と“必要以上に囚われない姿勢”を意識してみてください。

これは、「無関心になる」という意味ではなく、レジリエンス(折れにくさ/回復力)を育てることに近い考え方です。


③ 一人で抱え込まない ― 相談する勇気

「忙しいのはみんな同じだから」と、誰にも相談できずに抱え込んでしまう先生が本当にたくさんいます。

でも、相談することは弱さではありません。むしろ、“自分を守るための大切な行動”です。

管理職や同僚に話してみる、外部の相談窓口を利用する——

どんな形であっても、「誰かと気持ちを共有すること」は心の負担を大きく軽くしてくれます。


④ 完璧主義を少し手放してみる

教員は「責任感が強く、真面目な人ほど苦しくなりやすい」と言われます。なぜなら、“100点を目指す癖”がついているからです。

「子どものために」と考えると、どうしても100点でなければいけないと思ってしまいますが、すべてに100点は必要ありません。

「ここは80点で十分」「この対応は今日じゃなくても大丈夫」

そんなふうに、“力の入れどころ”を意識的にゆるめてみてください。


⑤ 日常に“意識的なリフレッシュ時間”をつくる

忙しい日々の中でも、意識して“自分のための時間”を確保することが大切です。

好きな音楽を聴く、少しだけ遠回りして帰る、お気に入りの飲み物を飲む――

たった5分のことであっても、その“余白”が心を守ってくれます。

「仕事以外のことを楽しむ自分」を許してあげてください。それが、明日また子どもたちの前に立つためのエネルギーになります。

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限界を感じたときに頼れる相談窓口

それでも「もう無理かもしれない」と感じたときは、迷わず誰かに頼ってください。話すだけでも良いです。

教員の世界では「自分でなんとかするものだ」という空気がありますが、心の限界を越えてまで頑張り続ける必要はありません。

ここでは、悩んだときに頼ることができる相談先をいくつかご紹介します。


■ 校内で相談できる人

まずは、校長・教頭・養護教諭・スクールカウンセラーなど、身近な人に話してみるという選択肢があります。

「こんな話をして迷惑かも…」と思う必要はありません。むしろ管理職には教職員の健康を守る責任があります。

一人で抱え込む前に、ぜひ“今の気持ち”を共有してみてください。


■ 教育委員会・教職員組合

各自治体の教育委員会には、教職員向けの相談窓口が設置されていることがあります。

また、教職員組合に加入している場合は、労働条件や保護者対応に関するアドバイスを受けることも可能です。

「学校の外に味方がいる」というだけでも、気持ちは大きく変わります。


■ 民間のカウンセリング・キャリア支援機関

最近では、教員専門のキャリアカウンセリングサービス(例:クジラボなど)も増えてきています。

“利害関係のない第三者”に話を聞いてもらうことで、本音や本当の気持ちに気づけるケースも少なくありません。

「このまま教員を続けていいのか」など、キャリアの方向性に悩んでいる場合にも有効です。


■ 医療機関(心療内科・精神科)

不眠・食欲不振・涙が止まらない・動悸が続く…

こうした身体的症状が出ている場合は、迷わず医療機関を受診してください

診断を受けることは自分を甘やかすことではなく、“これ以上悪化させないための大切な選択”です。


まとめ ― 心を守ることは、子どもたちを守ること

学校に行くのが辛いと感じるのは、あなたが弱いからでも、怠けているからでもありません。

それだけ本気で子どもたちに向き合ってきた証拠です。

大切なのは、苦しさを抱え込んだまま頑張り続けることではなく、“自分の心を守りながら続ける方法”を身につけることです。

境界線を引くことも、気にしすぎないことも、誰かに相談することも、リフレッシュの時間をつくることも、すべては「子どもたちの前に立ち続けるため」の大切な準備です。

どうか、自分の心を後まわしにしないでください。

今日から少しずつ、“あなた自身”のための時間と心の余白を取り戻していきましょう。

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現役で数学を教えている中学校の先生です。中学の数学のプリントやICT関連の情報、ブログでは道徳や学級レクのネタも発信しています。
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